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猫になりたい

もっと早く更新できると思ってた。甘かった。

続きから、実写美奈レイです。
若干百合色強め?どうなんだろう。







彼女は突然現れる。
いつも、突然に。
少しは慣れてきたといっても、いつだって予測はつかない。
……今日も。

「……少しは、時間を考えてくれないかしら」

深夜というにはまだ早いが、それでも誰かを訪ねるにはもう遅い。
何より、人がもう寝ようとしていた時に現れるなんて、非常識すぎるじゃない、と。
だが、深夜に訪れるよりはいいでしょう、なんて当の本人は平気な顔。
そのまま縁側からあがりこむ美奈子を、レイは大きなため息と共に迎え入れた。
ここまで来たものを、今さら追い返すわけにもいかない。

「時間なんて考えてたら、あなたに会う時間なんてなくなるわ」
「……理由になってないわよ」

言いながら、レイはそこまで迷惑だとも思っていなかった。
むしろ、どんな時間でも構わず会いに来てくれるのは嬉しいこと、なのだが。

「あ……ちょ、ちょっと」

振り返ったレイは、目に映った光景に呆れた声をあげる。
いつの間にか、美奈子はちゃっかりとレイのベッドに入りこんでいたわけで。
まったく、とレイは美奈子が脱ぎ散らかしたらしいジャケットを拾い上げる。

「ごめん……ちょっと休ませて」
「……それは構わないけど」

礼儀という言葉くらい心の隅に置いておいてほしい、とレイは一人ごちた。
そんな美奈子を見ていると、本当に一人で生活できているのだろうかと不安にもなる。
本人は元気そうなので、それは杞憂に過ぎないのだろうけれど。
相当疲れが溜まっているのか、ベッドの上で美奈子はあっという間に眠りの世界へ行ってしまった。
規則正しい寝息のリズムを聞きながら、レイはその髪をするりと撫でた。
そして、奪われてしまった寝床の代わりになる場所を探す。
美奈子の隣にでも入り込んでやろうかと思わないでもなかったが、美奈子が意外と場所を取っているのでそうもいかない。
仕方ない、と押入れから掛け布団を引っ張り出し、レイは畳の上に丸まった。


「……レイ……レイ」
「……ん……」

ぐらぐらと体が揺り動かされ、強制的に意識が引っ張り上げられる。
うっすらと瞼を持ちあげると、視界がゆらゆらと揺らめいていた。
まだぼんやりとした頭を抱えたまま、レイはどうにか眠りを妨げた張本人に視線を合わせる。

「……何よ?」

無理やり覚醒させられた頭は、ずきずきと痛んだ。
安眠を妨害され、半ば苛立ちにも似た感情を覚えながらレイはなんとか返事をする。

「眠たそうね」
「……誰のせいだと思ってんの?」

ちくりと嫌みを吐いてみても、美奈子には全く効いている様子はなく。
仕方ない、とレイはゆっくりと体を起こした。
ベッドを美奈子に奪われていたため、床に寝るはめになったレイの体が鈍い痛みを訴える。

「ねえ」
「……何?」
「……会いたかった」

一瞬、まだ夢の中にいるのではないかとレイは目をこする。
いつも勝気な瞳でレイに接してくる彼女が、今日はやけに素直だ。
それにどうにも違和を覚えて、レイはどう反応したものかと目線をさまよわせる。
かと思うと、ぐい、と回転させられる首に、薄暗さの中に見える美奈子の姿。

「……何、よ……突然」
「だって……本当に息もつけないくらい忙しかったのよ、最近」

明日はやっと半日だけオフ、と呟く美奈子。
だったら、尚更しっかりと休息をとれば良いのに、とレイは思うのだが。
美奈子はそうじゃない、と否定する。

「そうじゃないのよ、レイ」
「……そうじゃない?」
「休むだけなら、わざわざレイに会いに来る必要なんてないじゃない」

レイの頭にのせた手をするりと滑らせ、美奈子はレイの頬を撫でた。

「会いたくなったの……それ以上の理由なんているの?」
「……やけに素直ね」

気持ち悪いわ、というレイの言葉を交わし、美奈子はでしょう?と微笑む。
ベッドの淵に腰掛けた美奈子がゆっくりとレイに顔を寄せ、ぎしり、という音がレイの耳に突き刺さった。

「……独りって……案外寂しいものよ?」

特に夜は、と付け足して、美奈子の体が不意にベッドから下りてくる。
どさりとかかる重みを、しかしレイは拒むことなく受け入れた。
いつになく素直な彼女の姿に、何かあったのだろうかという不安がレイの脳裏を掠めていく。

「いっそ……逃げちゃいたいなって」
「え……?」

抱きしめられたままのレイには、美奈子の表情が分からない。
一体何を思ってそんなことを言うのか、どんな顔をしているのか。

「どうしたの、今日は」
「別に……ちょっと疲れただけ」

でも二人で旅行なんて楽しそうじゃない、と美奈子。
美奈子と二人での旅行。
想像しただけで、何故か胸が躍った。と同時に、不安にもなる。
彼女と一緒なんて、きっとただの旅行では済まないだろうから。

「たとえば……どこに?」
「ついて来てくれるの?」
「……想像だけなら、タダでしょう」

レイの返事に、どこがいいかしら、なんて真剣に考え始める美奈子が、なんだかおかしかった。

「……海、かな」
「海?」

レイの頭に浮かぶ海は、どこまでも青い。
それにはやはり、雪のように白い浜辺がよく似合う。

「一日中、のんびりしてたい」

二人でぶらぶら歩いて、気が向いたらお茶でも、という美奈子の声は弾んでいた。
レイもその声に微笑みを返す。
そんな気ままな旅だって、美奈子と一緒ならきっと退屈しないだろうな、と。

「……今日は、やっぱりなんだか変ね」
「変、かも。いいじゃない、なんだって」

写真を見てキレイだと思ったの、と実に美奈子らしい答え。

「……相当疲れてるのね」

無言で頷く美奈子を背中に感じながら、レイはその手に触れた髪を梳く。
そしてどこか冷めた美奈子の体温に、そっと回した腕の力を強めた。
こうしていると、何故だか猫を抱いているような気分になってくる。
いつも気の向くままに行動する彼女は、まるで。

「……猫にでも、なれたらいいのに」
「猫になったら……抱きしめられない」

冗談よ、と呟いて、美奈子はレイの腕でゆるりと動く。
かと思うと、そっとレイの腕から抜け出し、ゆっくりと立ち上がった。

「本当……今日はどうかしてるのね、私」
「……今更何言ってるの?」

美奈子がからりと障子を開けると、仄かに白い光が美奈子を照らし出した。
その光の強さに、今日の月は満月だったろうか、とふと思う。

「……月が綺麗」
「もう、だいぶ遅いのね」

レイもそっと美奈子について立ち上がり、夜に沈む景色を眺めた。
さすがに、灯りが煌々と光る家は少ない。
表通りから少し離れた場所にある火川神社は、もうこの時間になると静まりかえっていた。
たまに一人で目覚めた時に、レイは時々錯覚に陥る。
この世界に、たった独りが生きているような、そんな気にさえさせられるような。

「……レイ?」
「何よ?」
「ごめんなさい……急に」
「な――――」

返事を返そうとしたレイを遮り、美奈子はレイの腕を掴む。
そのままするりと自分の腰にレイの腕を回して、美奈子はふとため息をついた。

「別に、構わないって言ったはずよ?」
「うん、聞いた」
「……メールだって、ちゃんと返してるじゃない」
「……うん、もらった」

でもそれじゃダメなの、という言葉。
回した腕が震えたのは、美奈子に気づかれただろうか。

「ダメって?」
「……触れられないのは、辛いもの」

まずい、と思った。
これ以上、甘い言葉をかけられてしまったら、きっと期待してしまう。

「……いつだって、会いに来れば良いわ」
「そう、ね……でも、言葉だけ、じゃ」
「……私はここにいるもの」

どこか軽い笑い声を上げて、美奈子がくるりと身を反転させる。
どうしたの、とレイが問う間もなく。

「……痛、ッ……」

じんわりとした鈍い痛みに、何が起きたのか理解がついていかない。
鎖骨の辺りに浮き上がる赤い痕。
にやりとした笑みを浮かべる美奈子の表情は、いつもの彼女そのもので。
さっきまで感傷に浸っていた人間と、同じものとは思えない。

「な……何するのよ……ッ!」
「んー……?言葉なんて、意外とあてにならないもの」
「……理由に、なってない」
「理由なんて……いらないわ」

甘かった、とレイは数分前の自分を悔んだ。
いくら弱っているといったって、目の前にいる少女は、あの"愛野美奈子"なのだから。

「……これが消える前に、また来るから」

これ、と美奈子が痕をつつくたび、甘い疼きに体を支配されるのが分かった。
一応、レイもこういう行動に抵抗を示してはみせる、のだが。
美奈子には敵わない、といつも思い知らされるばかりで。

「それこそ、あてにならないじゃない」

一矢報いようと言い返した言葉はしかし、あっさりと否定される。

「来るわよ、這ってでも」

そう言って不敵に笑う美奈子の瞳の輝きは、レイを捕らえて離さない。
この痕を見るたびに、彼女の瞳を思い出すのだろう。
だがそれも、きっとそこまで悪い気はしない。

「レイ」
「何?」
「……、よ――――」

淡い輝きを帯びた星が、空の向こうでちらりと光り。
レイの視界の端に映り、やがて消えた。





どうも、ひるめです。
あれ、もう少し早く更新出来ると思っていたのにこんな時間←
昨日は……家族がパソコをずっと支配していたので、何もできなかったんですけどね。
あーやることあるのになぁ、と思うと若干イライラしますよね。うん。

今回は、スピッツの「猫になりたい」という歌から想像して書いたものです。
いい曲です、本当。
つじあやのさんがウクレレ弾きながらカバーしてるやつも好きなんですけどね。
どっちも良い。是非。
歌詞は美奈子目線からの心情、というイメージで書いていたんですが、何故レイちゃん目線にしてしまったんだろう私……。
あと、思った以上に書くのが恥ずかしかった後半。
甘いセリフとかシーンって、自分で書くと恥ずかしいもんですね。
まあ毎回かゆいなぁなんて呟きながら書いてるんですけど。

そういえば、スピッツの話題に反応したら、「お前にもまともな趣味があったのか」と言われました。
……私のイメージって百合しか無いのん?
いやいや、スピッツ良いですよスピッツ。
BUMPもスキマも……J-POPとか人並みに聞きますよ。えぇ。
でも友人には、「ひるめのイメージ=百合」という方程式が完成しているようです。
いやまあ……間違ってはないかぁヽ( ´ー`)ノ
posted by ひるめ | 19:25 | 美奈レイ | comments(0) | trackbacks(0) |
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