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Joy to the World
最近美奈レイが多い気もしますが、クリスマスネタで美奈レイ。

普段よりちょっと長めです(書いていたら収拾がつかなくなっただけとも言う






「……あら?」

いつもと違う火川神社の様子に、美奈子は思わず呟いた。
こっそりと侵入を成功させ、いつものようにレイがいるはずの部屋に向かっているはず、だったのだが。
普段とは違う、複数の気配。
もしやうさぎたちか、とも思ってみるが、どうもよく知る仲間たちの声はしない。
状況を把握しようと障子に体を寄せた時、美奈子は背後に聞こえた、あら、という声に振り返った。

「……あ、あの……火野様のお友達、ですか?」

そう問う少女が身に纏うのは、あの私立T・A女学院のもの。
同級生が遊びに来ているのか、とやっと美奈子は納得した。

「あー……いや、まあオトモダチというかなんというか」

あはは、と曖昧に笑う美奈子に、目の前の少女は訝しげな表情。
だが、一応は美奈子のことを信用してくれたらしい。
少し入りにくい雰囲気を醸していた障子をからりと開け、美奈子をそこへ通してくれた。

「……えーとここは……み、美奈……?!」

部屋に入ってみれば、レイと三人の少女たちが机を囲んでいた。
何かの打ち合わせをしていたのか、舞台の図面の様なものが散乱している。
それを見ながら指示を出していたレイの表情が、美奈子を認めるなり強張った。

「あ、あはは……ハロー、レイちゃん」

レイの表情から、恐らく今この場に自分は居合わせてはいけないのだろうと美奈子はぼんやりと思う。
時すでに遅しとはまさにこのこと。
若干の居心地の悪さを抱えたまま、美奈子は部屋の隅に腰を下ろす。

「火野様、あの方は?」
「あ?あー……友達、よ」

レイから飛んできた視線には、それ以上関わるなというメッセージ。
こんな時、レイに逆らっても良いことにはならない。
何より、レイを困らせるにはいかない、と美奈子はおとなしくすることに決めた。
しかし、レイたちの会話の内容が気になるにつれ、聞き耳を立てずにはいられないのも美奈子の性分。

「……一体、何やってんの?」
「今度、うちの学校でやるクリスマス行事の打ち合わせなんです」

心優しくも答えてくれた少女の奥で、余計なことを、というレイの視線。
横顔に僅かに刺さるその視線を無視して、美奈子はその少女の横へするりと入りこむ。

「クリスマス行事って……ミサとか?」

美奈子の乏しい知識では、キリスト教の学校でのクリスマスなど想像もつかない。
あまりない脳を絞って出てきたのは、聖堂、そしてミサのイメージ。

「そうですね。小学校から高校まで、学校中でお祝いするんですよ」
「小学生が聖歌隊で」
「中学生がミサの進行で」
「高校生はタブローをやるんです」
「……たぶろお?」

聖歌隊やミサ、といった単語はまだ分かる。
だが、タブローとは、一体なんのことやら。
美奈子の脳内に浮かぶ疑問符に気づいたのか、レイが静かに口を開く。

「キリストの誕生を描く、セリフのない劇みたいなものよ」

そしてその打ち合わせがこれ、というレイのセリフに、美奈子の頭の中で全てがつながった。
机に散乱した図面は、タブローの舞台を示しているらしい、と。

「じゃあ、レイちゃんもこれに出るの?」
「もちろん!火野様も――」
「打ち合わせ、続けましょう」

何かを言いかけた同級生の声を遮り、余計なことをするな、と再度レイの視線で刺されるくぎ。
今度こそ機嫌を損ねたら厄介そうだと悟った美奈子は、仕方ない、と元の場所に戻ることにした。

打ち合わせと称された会合が終わったのは、美奈子が訪れてからゆうに二時間経った後。
四人で並んで帰っていく少女たちの後ろ姿は、さすがT・A女学院と思わせる華があった。

「……なんだか、お邪魔だったみたいね」
「来るなら事前に電話くらいしなさいよ」

ため息混じりのレイの声は、普段よりけだるそうだった。
美奈子と同級生の両方に気を遣うのは、レイにとって楽なことではなかったらしい。
そんなレイの様子に申し訳ないことをしたかな、と思う反面。
なんだか面白いことを聞いた、という意識も美奈子の中にはあった。

「ところでさっき言ってたたぶろーって……」
「残念ながら非公開だから」
「え、嘘ぉ」

レイが出るなら是非見たいと思っていた美奈子の心中は、レイに簡単に読まれていたようで。
お生憎さま、と言うレイの横で、美奈子はがっくりと肩を落とした。

「……見たいな、それ」
「……ムリね」

それでも何か方法はないか、と美奈子の脳がフル稼働する。
そして、思いついた答えは。

「あ、ビデオとか」
「それも、学校の保存用だから」
「あー……」

ダメだったか、と再び肩を落とす美奈子。

「何かそれを見る方法はないの!?」
「無いわよ、残念ながら」

うちの学校の生徒でもない限り、無理に決まっているでしょう、と無残にも言い放つレイ。
この話は終わりとばかりに台所へ向かってしまったレイの背中を見ながら。
しかし、美奈子の胸には別の計画が既に芽生えていたのだった。


「しっかし……いつ来てもでかいわね、ここ」

おまけに都内でも屈指の一等地。
そんな場所に小学校から大学までそろっているというのだから、一体どれだけの学費がかかるのだろうなどとぼんやり思う美奈子。
そばを通りかかる小学生や中学生たちが、それぞれ美奈子に挨拶をして通り過ぎていく。
それらに優雅に対応しながら、美奈子は今日の計画をずっと練っていた。

「……まあ、前にも一回来たことあるし」

なんとかなる!と心の中で美奈子はこぶしを握る。
以前と違う点と言えば、レイがそばにいないこと。
つまり、今の状況が誰かにバレても、取り繕ってくれる人がいない、ということだ。
近くにあった窓に映る自身を見て、もう一度自分の姿を確認する美奈子。
そこに映るのは、いつもの十番高校の制服を着た美奈子ではない。
よし、と呟く美奈子の身を包むそれは、T・A女学院に通う者である証。
レイが見たなら、すぐに美奈子を校外に連れ出し、激しく説教しただろう。
しかし、今ここにレイはいない。
美奈子はT・A女学院の生徒たちの波に乗り、着実に目的地へと足を進めていた。
行きついた場所は、既にたくさんの人々で埋め尽くされている。
これだけの人が集まると、外はかなり寒かったはずなのにそれとなく温かいと感じた。

「……さて、これから何が始まるのかしら、と」

入口で受け取ったプログラムをぱらぱらとめくると、最後に記されたタブローの文字。
今更ながら、カタカナだったのか、などとくだらないことに気づく。

「タブロー……は最後、か」

ぽそりと呟いた時、隣からかけられた声に美奈子ははっと顔をあげた。

「あ、あの、お隣よろしいですか?」

見るからに線の細い彼女は、中学生くらいだろうか。
そんなことを思いながら、どうぞ、と隣を示す。
小動物を思わせるような動きで腰掛けた少女の髪は、どこかレイのそれを思わせた。
そうこうしている間に、だんだんと静まっていく会場。
そろそろ始まるのだろうか、と美奈子も前方のステージに集中する。
そうして始まったミサは、思った以上に美奈子の眠気を増幅させた。
眠るのはさすがの美奈子でも失礼だと感じたのだが、往々にして理性より本能が勝つもの。
ミサを進める神父の穏やかな声に、美奈子の意識はすとん、と落っこちていったのだった。


「あ、あの、お姉様」
「……んー……あ……?」

はっと気づいた時には、可愛らしい聖歌隊たちが、ステージからぞろぞろと退場しているところだった。
眠っていた、と頭が認識して、そして意識が急に戻ってくる。

「えーと、寝て、た?」
「……はい……その……」

起こすのが申し訳ないくらいに、と笑う隣人に、面目ないと頭を掻く美奈子。
普段の授業だって眠たいのに、増して平生聞かない話を聞かされては、眠たくなるのも仕方ないというもの。
起こしてくれてありがとうと礼を言えば、隣の彼女は優しい笑顔でいいえと応える。
ちらりとステージに目を移せば、ごとごとと何か準備している様子。
恐らく、今からタブローとやらが始まるのだろう、となんとなく美奈子でも分かる。
劇、というからには大がかりなものなのだろうか、と美奈子は想像していたのだが。
始まったタブローは、思ったよりも質素なものだった。
静かなナレーションから始まり、ステージの照明がわずかながら明るくなる。
そこにいるのは、二人の女性。
一人は跪き、一人は立ったまま、もう一人の人物を見つめていた。

『おめでとう、恵まれた方――』
「……あ、レイちゃん……」

両手を広げ、座った女性に優しい視線を注ぐのは、紛れもなくレイその人だった。

「あれが、天使ガブリエル」
「が……がぶりえる?」
「受胎告知……マリア様にイエスが宿ったことを告げ知らせる場面です」

ということは、あの座っている女性がマリアということになるのだろうか。
マリアから一段高いところに位置するレイは、ならばガブリエルなのか、と美奈子は改めて視線をそそぐ。
遠目には詳しく分からないが、自慢の黒髪を結っているようだった。
丈の長い白装束に身を包んだレイに、美奈子は思わずため息を漏らす。

「……綺麗」

もっと見つめていたいと思わせるほどの立ち姿。
だが舞台はそうも行かない。
少し暗転した後、現れたのは別の場面。
羊飼いたちが羊の番をするところに、再びガブリエルは現れる。


いと高きところには栄光、神にあれ、

地には平和、御心に適う人にあれ。


背景の空が輝き、一筋の星が流れていく。
やがてイエスの誕生で舞台は幕を閉じた。
拍手の響く会場がだんだんと明るくなり、今日の行事が終了したことを知らせる。
だが、それが終わった後も美奈子はどこか惚けた面持ちで舞台を見ていた。
綺麗だ、その一言しかない。
普段だって綺麗なのだが、天使なんて役を演じるレイは、いつも以上に浮世離れした感じがした。
気づかれてはまずい、という思いと、今会いたい、という思い。
どちらが勝利するだろうと、考えるまでもない。
ざわざわと出口へ向かう人の波の中で、美奈子は思わず駆けだしていた。


「……はっ、はぁ」

だらだらと移動する人の波の中で、美奈子はどうにかレイを見つけようと辺りを見渡す。
どこにレイがいるかなど知りもしないまま、勘だけで外に出ては見たのだが。
タブローを終えて出てきたらしいキャストたちの中に、レイの姿は見えない。
あてがはずれたか、と息をつく美奈子の腕を、その時誰かが掴んで引っ張った。

「え、うぁっ……?!」

間抜けな声が漏れたが、美奈子の腕を引っ張っている方は構わず人の波を抜けていく。
人の波に逆らって強引に進み、やがて止まったのは少し開けた場所。
近くに立つ建物の側面から、先ほどいた会場の脇なのだと想像がついた。

「大丈夫ですか?」

そう問う声は、先ほどまで隣にいた少女のもの。
もう会うことはないだろうと思っていた彼女の姿に、美奈子は目を見開く。

「……あれ、貴方は……?」
「火野様をお探しなんでしょう?この辺りで待たれたらいかがかと思って」

笑って顔を傾けた少女のセミロングが、ふわりと揺れた。

「あ、ありがとう」

でもどこから出てくるのかしら、とさまよわせた美奈子の視線が、とある一点を捉える。
あれが恐らくもう一つの出入り口なのだろう、と思った時、そこから現れる白い一団。

「あ、レイちゃん……!」

さっきよりも近い距離。
堪え切れずに手を振った美奈子を、レイは一目でそれだと見抜いたらしい。
近くにいた生徒たちに断って、こちらへ走ってくる姿さえ優雅だと、美奈子が見惚れる間もなく。

「な、何やってんのよ、アンタは……!」
「え?あ、あはは」

姿だけは優美なのに、口を開けばいつものレイと変わらない。
そのことが、何故か美奈子を安心させ。
説教を始めようとする彼女に構わず、ぶかぶかの服ごとそれを抱きしめた。

「ちょ、美奈……?」
「すっごく素敵だった」

それだけ言って、いつもとはまた違った服の感触に顔を埋める。
天使を抱きしめるなんてこと、後にも先にもこれっきりだろうか、なんてことを考えた。

「……見つからなかったでしょうね」
「ぅえ?あ、そういえば」

ここまで案内してくれたはずの少女に礼を言おうと振り返った時、その少女の姿は既にそこになかった。

「あ、あれ?」
「どうしたの?」
「えと、いや……その」

そんなに遠くに行っているはずはないだろう、ときょろきょろと見渡してみる。
だが、やはり少女の姿はどこにもなかった。

「んー……まあ、良いか」

そう呟く美奈子の頭上。
冬の寒空を、一匹の小鳥が飛んでいった。






どうも、ひるめです。
よし、クリスマス!クリスマスだ!と書き始めたらなんだかまとまらなくなりました。
天使を抱擁する少女、みたいなイメージで。
あれ、これイラストにしてしまった方が良かったかもしれないな←
クリスマス行事とかのシーンはいろいろと捏造。
なぜか家にある聖書を、ぱらぱらめくりつつ書いてみましたが……。
にしても、小学校から高校まで全部が集まってクリスマス行事ってすごい規模だなぁヽ( ´ー`)ノ

本当はももゆりでも書きたいなと思ったりしたんですが、プリキュアはクリスマスと最終決戦が見事に被っているので、あまりハッピーな話も書けないなぁと思った結果。
なんだか普段書く量の1.5倍くらいはあるんじゃないだろうか……うわあぁ。
posted by ひるめ | 12:18 | 美奈レイ | comments(0) | trackbacks(0) |
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