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Snow Smile

どうもひるめです。

今回は、つっちー様からの17000打リクエストで、前世ジュピマキュです。







なんて幸せそうに笑うんだろう。
それが、ジュピターの第一印象だった。
互いに年齢はそう変わらないはずなのに。

「よろしく、マーキュリー」

ふわりと笑う彼女が、自分と同じ生き物だとは思えなかった。
マーズやヴィーナスとも同じように出会ったはずなのだが、こちらの印象はそこまで残っていない。
いや、覚えていることは覚えているのだが、それ以上にジュピターの印象が強かったというだけの話だ。
外見だけなら、恐らく彼女のように無邪気なのが年相応なのだろう、と。
一緒に過ごせば過ごすほど、ジュピターの無邪気さは際立って感じられた。
軍人としての教育を受けていないのか、あるいは。
だが、マーキュリーの予想は外れた。
彼女の能力は、少なくとも力では誰にも負けぬほど高かった。
俊敏さには少し劣るが、それでも戦闘になれば抜群の力を発揮するだろうということは明らかだった。


「や、マーキュリー」
「ノックくらいして」

唐突に開けられた扉に対し、マーキュリーは冷たく言い放つ。
だが言われた方は全く気にしない様子で、ずかずかと部屋に入ってきた。

「何してるかなって思ってさ」
「何って……見れば分かるでしょう」

机の上に散乱した書類。
そんなに働かなくても、と周囲の人間には言われたのだが。
シルバーミレニアムで暮らす人間としては、何もせず日々を過ごす方が苦痛だった。
何より、働かなくても良い理由が"まだ子どもだから"など。
マーキュリーには、とうてい納得できる理由ではなかった。

「本当、仕事熱心だよね」

そのうち、嫌でも働かなくてはいけなくなるのに、とジュピターの顔に浮かぶ苦笑。
彼女はどうもこういったデスクワークが苦手らしく、むしろ免除されることを喜んでいるようだった。

「私にとってはこれが普通よ」

ちらりとジュピターに視線を向けると、ふやけた笑顔が目についた。
逆なでされる。どうしようもなく、心の表面を逆なでされる。
彼女の笑顔一つに自分の感情が揺れることが、何故だか許せない。

「普通、か。やっぱマーキュリーはすごいや」

そう言うジュピターの声には、自分を卑下する空気など一切感じられなかった。
その純粋さがまた、マーキュリーを苛立たせる。
行く行くは四守護神のブレインになるはずの自分が、こんな風に揺さぶられるなんて。

「……で、何の用?」
「え?あー用ってほどでもないけど」

何だか退屈で、とか。
暇だから、とか。
そんな理由で会いに来るのだから、今日だって用などないと分かっていたのに。
それでも、毎回マーキュリーは問う。

「顔見たくなった、ってとこかな」

そしていつも、ジュピターはそう答える。
頭の後ろで手を組み、へらりと笑顔を浮かべて。
仕事に戻ったマーキュリーに対し、ジュピターはそれを邪魔する様子もない。
本当に、顔を見に来ただけ、らしい。
部屋に据え置かれたソファに沈み、ちらちらとこちらを窺うジュピター。
つくづく変な人、とマーキュリーが息をついた時、ざわりとジュピターの雰囲気が変わった。

「……どうしたの?」
「なんか、部屋の外がおかしい」

先ほどまで呑気な空気を纏っていたくせに、今のジュピターを包むのはあまりにも鋭い空気。
やはり底知れない、とマーキュリーは心の奥で思った。
ただ、感じる空気が殺気なのかそうでないのか、という違いまでは察知できないらしい、とも。

「残念ながら、非常事態、というわけではないみたいね」
「え?そうなのか?」

廊下から感じる慌ただしい空気は、しかし敵が現れた、というようなそれではない。

「たぶん、地球からの使者じゃないかしら」
「地球?」

あの青いやつか、と聞かれてマーキュリーは頷く。

「本当に?」
「……嘘ついてどうするの?」
「……行こう!」
「え、あ……」

ジュピターに、有無を言わさず掴まれた腕。
振り払おうとしたがもう遅い。
ちょっと待って、と言うマーキュリーの言葉は聞きいられず、ジュピターは駆けだしていた。


「あれか?」

地球の使者が現れたらしいその場所は、どこかざわついていた。
そこから少し離れた木陰から、二人で様子を窺う。
本来なら二人は四守護神になる身であるのだから、こんな風にこそこそする必要はないはずなのだが。
ジュピターが隠れるのに倣って、マーキュリーも身を隠していた。

「地球、なんだよな」
「……だからどうだというの?」

ぞろぞろと連なって移動する大柄な男達。
厚手のコートやブーツを身にまとった彼らは、恐らく極寒の地から来たのだろうと想像できる。
何もかもが管理された月の環境と違い、それは地球が生きている星であることを示しているかのようだった。

「あいつの靴、何かついてる」
「あれは……たぶん雪でしょうね」
「ゆき……?」

聞きなれない単語だったのか、訝しげな表情をするジュピター。
マーキュリーが簡単に説明してやると、その瞳がきらりと光った。

「じゃあ、あれは地球の季節が変わるから起こることなんだな?」
「まあ、そういうことね」

マーキュリーにしてみれば、さほど重要なことだという認識はない。
そんな知識が、心のどこに響いたのか分からないが、ジュピターはどこか熱い視線で地球の兵を見つめている。

「……もういいでしょう。気が済んだら帰――」

背を向けて帰りかけたマーキュリーだったが、掴まれた服の裾に、動きを止めた。

「雪って、冷たいのか?」
「さあ……氷だから冷たいんじゃない」
「それは、空から降るのか?」
「……何が言いたいの?」

いまだ熱のこもった声。
その視線を辿り、改めて兵たちを眺めてみても、何が珍しいのかマーキュリーには理解できなかった。

「行ってみたい、な」
「地球、に?」

こくりと頷くジュピターに、とんだ物好きもいたものだ、とマーキュリーは思う。
空に浮かぶ青い星。
あんな場所、望まなくてもいずれは行かねばならないのに。

「……そんなに気になる?」
「生命が存在するんだぞ?」

生命の存在がそんなに大事だろうか、何がそんなに彼女を惹きつけるのだろうか。

「だから、何?」
「何って……あたしの星には、そんなものなかったから」

月に来て、初めて出会ったんだ、と語るジュピター。
そんな情報は、言われなくともマーキュリーの脳内に存在している。

「……そう」
「……なんだよ、反応薄いな」

非難するようなジュピターの声。
だが、これ以上どう反応しろというのだろう。

「……私の星にも、そんなものはなかったけど」

だからといって、生命に執着する気もない。
生命が重要でないとは言わないが、マーキュリーにとってはそこまでの感動を覚えるものでもなく。
むしろ、その執着が命取りになる。
他の生命へ想いをはせる余裕があるなら、自分の身を守ることの方が重要であるはずだった。
少なくとも、マーキュリーが受けてきた教育ではそのはずだった。

「あたしは、行ってみたいんだ。……そして、触れてみたい」

ぐっと握った拳に、ジュピターは一体何を見ているのだろう。
口を開きかけたマーキュリーは、こちらを正視するジュピターの瞳に、一瞬焼かれたような気がした。
その奥に燃える光と、彼女に映る自分の姿と。
それらが混ざり合って、ジュピターの深い緑の瞳に溶けていく。
わけも分からず吐き気を覚え、マーキュリーはそれから逃げるように目を逸らした。

「行こう、マーキュリー」

地球へ。
何の躊躇いもなく、何の迷いもなく、ひたすらまっすぐに。

「……仕事で、嫌でも行く日が――」
「それじゃダメなんだ」

二人で行かなきゃ意味がない。
使命とかそんなの抜きで、二人で行くんだ、と。
ジュピターの大きな手がマーキュリーの両の手を包み、逸らしたはずの視線は再びぶつかった。
どうしてそこまでこだわるのだろう。
マーキュリーという人間に。そして地球に。
それが分からず、マーキュリーは視線を揺らす。
ただ確かだったのは、握られたその手の温かさだけで。
マーキュリーには、自身の思考回路が、ぎりぎりと音を立てて軋んだ気がした。
完璧な回路の中に、小さなバグが放り込まれたかのような感覚だった。
マズい、と不意に認識するマーキュリーの脳。

「……やめ、て」

握られた手を振りほどき、ずきりと痛むこめかみに手をあてる。
これ以上侵食を許したら、何が起こるか分からない。想像したくもない。

「マーキュリー?」

普段と違うマーキュリーの様子を、訝しそうに窺うジュピター。
その視線を感じながら、マーキュリーは自身を保とうと必死だった。
不安定に揺れる足場で、どうにか立っていようと必死だった。
ざわつく脳が収まり始めた頃、おずおずとジュピターがマーキュリーに話しかけてくる。
ゆるりと盗み見たジュピターの視線は、いつの間にか不安げに揺れていた。

「……大丈夫、か?」
「……えぇ」

ほんの少しの間に変わってしまう表情に、せわしない子、などと頭の隅でぼんやり思う。
おろおろと戸惑い、今にも泣き出しそうな顔。

「どうしてあなたがそんな顔するのよ」
「だって、マーキュリー、が……」

彼女の声が微かに震え、それだけでマーキュリーの思考がさざ波立った。
先ほどとは違う、ゆるやかな困惑。
こういう時、どうすれば良いのかマーキュリーは知らない。
ただ、彼女が泣くということが何故か嫌だった。
つかの間停止した思考が、回転を始める。

「……ジュピター」
「……ふ、ぇ……?」

そっとその名を呼び、見て、とジュピターに自分の右手を示し。
不思議そうな表情で首を傾げるジュピターの目の前で、ぱちん、と指を弾いて見せる。

「あ……!」

瞬間、マーキュリーの右手周辺に生まれる空間。
マーキュリーの手元から、小さな白い結晶がはらはらと舞い落ちる。

「……これ、雪……なのか?」
「本で読んだ通りなら、これが雪でしょうね」

目を丸くして、ジュピターは宙に舞うその結晶に手を伸ばす。
その掌で、ゆっくりとその結晶は溶けていった。

「冷た……綺麗、だな」
「……そう、かしら」

それより、マーキュリーにはそれを必死で追うジュピターの方が綺麗に見えた。
そこに泣かないで、と言えるほど、マーキュリーは強くない。

「マーキュリー……すごいや」

ジュピターのその言葉が嬉しくて、マーキュリーはひたすらに指を弾き続ける。
こんなことで、彼女が悲しい顔をしないで済むのなら。
ジュピターが笑っていてくれるなら。
たとえそれが、雪のように淡い想いであっても。
今できることは、それをただ抱きしめることなのだ、と。

「……ありがとう」
「……礼を言われるようなことではないわ」

言いながら、マーキュリーはジュピターの笑顔で何かから解き放たれたように感じていた。





どうも、ひるめです。
まずは、17000打ありがとうございましたm(__)m
17000ですってよ(゜д゜;)
改めてすごい数字だなぁと思ったりします。
これも日々来てくださる方々のおかげです。本当に。

ということで、リクエストをいただいた前世ジュピマキュです。
拍手にて連載している話で、前世内部たちがまだ幼い頃をイメージしつつ。
マキュは機械っぽい思考回路のような気がしています。
それを溶かすジュピター、といった感じで。
そんな幼い二人が良いなぁと思ったりします(´▽`*)
では、つっちー様リクエストありがとうございました。
posted by ひるめ | 22:26 | まこ亜美 | comments(2) | trackbacks(0) |
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コメント
> つっちー様
こちらこそ、リクエストありがとうございました。
これからもどうぞ遊びにいらしてくださいね(´▽`*)
2011/01/03 23:16 by ひるめ
ありがとうございました。大人の二人もいいけど、少し幼さを感じる二人もいいですネ。まぁ、基本マーキュリーが関連してれば全ていい!なつっちーですが。これからもちょくちょく遊びにきます。どうもありがとうございました。
2011/01/01 23:21 by つっちー
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