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拍手、握手、ハックシュ。
なんかもうタイトルがぐちゃぐちゃですヽ( ´ー`)ノ
どうも、ひるめです。

拍手の更新をば。
最初から明るい展開なんてほとんどありませんでしたが、なんだか今回も暗いです。
マーキュリーには少し救いがあるでしょうか。
あと、マーズかな。
……ヴィーナスはもうちょっとかかるようです。






「……はるかさんたちが、いない?」

アルテミスの言葉を確かめるように、レイが聞き返す。
難しい顔で頷くアルテミス。
だが、それがどこまで重要なことなのか、美奈子にはよく分からない。

「……散歩、とか」

美奈子が呟くと、アルテミス、そしてルナの厳しい視線が美奈子に突き刺さった。
バカなことを言うなよ、というアルテミスの声は、冗談など聞き流せる雰囲気でないことを示している。

「わずかだけど、時空の歪みが感知された」
「……たぶん、三人で行ったのよ」

ルナ、そしてアルテミスの表情が更に険しくなる。

「でも、それがそんなに大変なことなの?」
「……まあね」

言いながら、ルナとアルテミスは互いに視線を交わし、やがて何かを決めたように口を開いた。

「……美奈たちにはまだ、言ってなかったね」
「今回のことには、もしかしたらクインメタリアが関係しているかもしれないの」

アルテミスの口から出てきた言葉に、美奈子、そしてレイも体を硬くする。

「……どういう、こと」
「僕らも僕らで、古い資料を探してみたんだ」

今回のこと――マーキュリーと亜美が入れ替わってしまったような――に似た事例がないかどうかね、とアルテミス。

「そして見つけたのよ……昔の事件の資料を」
「地球側の資料にも、似たような記述が残っていた」

美奈子の脳内で、さまざまな要素が絡み合い、混ざり合う。
一体何が起きているのか、だんだんと混乱してきた。

「……ちょ、ちょっと待って……だって、それは私たちが倒したはず、じゃ」
「それは、転生した後の話だろう」
「……じゃあ、今時空に干渉しているのは」
「前世のクインメタリア、そのものなんだよ」



セレニティが、いかにも嬉しげな笑顔でやってきたのが数分前。
まだ眠気を抱えたままの亜美だったが、その爛漫な笑顔に一気に眠気が去った。
一体どうしたの、と聞いてみても、秘密、としかセレニティは返してくれない。
亜美の指を掴む小さな手の温かさは、急いで亜美の部屋までやってきたことを示しているようだった。
いいからついてきて、と言うセレニティに手をひかれ、亜美は素直にそれに従った。
やがてセレニティが足を止めたのは、亜美もよく見慣れた場所――バラ園の入口だった。

「……ここ?」

うん、と大きく頷き、セレニティが見せたかったらしいそれを指さす。
亜美がそれを正確に捉えようと近づくと、不意にそれは鮮やかな色彩で自身を主張した。

「あ……」

人工の朝日の中で光り輝く色彩。
溢れんばかりの生気を湛えた、一輪のバラ。

「すごいでしょ、毎日水やりしたおかげだね」

はしゃぐセレニティの声を頭の片隅で聞きながら、亜美は何かにとりつかれたかのようにそれに近寄る。
指で撫でると、バラは確かな存在感を持って亜美の手の中で跳ねた。

「……綺麗」
「うん、私も、初めて見た時すごくどきどきしちゃったぁ」
「素敵ね……教えてくれて、ありがとう」

静かに呟く亜美に、えへん、とセレニティは胸を張る。
その柔らかな髪をゆっくりと梳いて、亜美はその場にそっと腰を下ろした。
いつまでも眺めていたい、ふとそんな思いに捕らわれたから。
たった一輪のバラであるはずなのに、こうも愛おしく思えるのは何故だろう。
不意に植物を世話するまことの背中が浮かび、彼女もこんな思いであったのだろうかと思った。

「マーキュリー?」
「はい?」
「これは、地球にも咲くのかな」

地球、という言葉をセレニティから聞くことに違和感を覚え、亜美は思わず隣の彼女に視線をやる。
彼女の興味が、そのあどけない心が、あの青い星に向いていることが意外だった。

「どうして地球なんです?」
「うーん……ジュピターが、素敵な星だって言ってたから」

あの青さは、全部自然なんでしょう、というセレニティの言葉。
まだ、月と地球の関係の裏に横たわるどす黒い感情に勘づいたわけではないのだ、と。
安堵にも似た気持ちから、亜美は優しく微笑んで答えた。

「そうですね、きっと咲いていると思います」
「いつか、行きたいな」
「……それ、は」

一瞬言葉に詰まり、あわてて笑顔でそうですね、と返事をする。
純粋に地球に憧れるセレニティの心。
今から彼女を襲うであろう運命を思えば、どうにも皮肉な話だった。
そんな風に別のことに気を取られていたせいで、亜美はそれに気づくのが普段より遅れた。
気づくきっかけになったのも、はっと固まったセレニティの表情で。

「……何、やってんだ」
「ジュピター……」

どうしよう、という色がセレニティの目に浮かぶのを見た。
恐る恐る振り返ると、入口の門にもたれかかったジュピターの姿が見えた。

「……あの……」
「まあ確かに、みんなが入れるようにはなってるけどな」
「ご、ごめんなさい!」

私が呼んだの、というセレニティの言葉を受け流し、ジュピターは亜美の瞳を見据える。

「でも、持ち主が誰かくらい分かってるはずだ」
「それ、は」
「あんたなら、ここがどういう場所かも分かるはずだ」

まずい、と今更ながら頭の隅で焦りが顔を出す。
緩慢な動作で立ち上がり、亜美はジュピターのその強い視線をまっすぐに受け止めた。

「……あなたに伝えなかったのは、申し訳ないと思うわ」
「……申し訳ないで済む話か」
「だ、だから!私が呼んだの、私が秘密にしてって」

セレニティも罪悪感を覚えているのか、必死でジュピターの袖を引いて言葉を続ける。

「素敵なバラ園だったから、もっと素敵にしたいって思ったの!でも私一人じゃ上手くできなくて」
「……分かったから、ちょっと黙ってな」

ぎゅ、と掴まれた袖を解き、ジュピターはあくまで亜美から視線をはずさない。

「……先に帰ってな、セレニティ」
「でも……」
「今日は、マーズに勉強を教えてもらうんじゃなかったのか」
「そうだけど……」

今にも声をあげて泣き出しそうなセレニティに、ジュピターは努めて冷静に対応しているようだった。
堪えているのは、怒りなのか、悲しみなのか。
ジュピターの声に含まれた深い色に怯えたのか、セレニティがそろそろと後ずさる。
亜美が行きなさい、と頷いて、やっと決心したようにセレニティはバラ園から離れていった。

「セレニティには、ここに入ることを許可したけどさ」
「……ごめんなさい」
「謝られてもさ、なんていうか」

そうじゃないんだ、と絞り出すジュピターの声は苦しそうだった。
そしてその声の震えは、彼女の頬に流れる一筋の跡の理由を示しているようで。

「……ジュピ、ター?」
「ダメだ……ダメなんだよ」

ダメ、という言葉を繰り返し用いながら、ジュピターは別のことを考えているようでもあった。
どうにかして、亜美を傷つけないような言葉を探しているかのような。

「アミはアミなんだって、分かってても」
「……マーキュリーにしか見えないから?」
「……ッ」

きつく唇を噛む様子が、亜美の言葉を肯定していた。
違うんだ、ダメなんだ、そう言いながらジュピターは声を殺して涙を流す。
その様子は、マーキュリーを居たたまれなくさせた。

「……ジュピター……」
「ごめん……違うんだ……」

分かってるけど、分からないんだ、というジュピターの言葉を、亜美はただ受け止めた。
ジュピターの中にある感情は、今の亜美にはどうしようもない。
マーキュリーだったらどうなのだろうか、とふと思った。

「……マーキュリーは、どんなに誘ってもここには来ようとしなかったから」
「……えぇ」
「なんだか、変な気分だ」

ごめんよという言葉は、亜美に対してだったのか、ジュピターの独りごとだったのか。
いずれにしても、亜美にはその真意は図れない。
ゆっくりと近づいて、ジュピターの頬に手を添える。
少しでも拒否の色が見えたなら、すぐに退こうと思っていた。
だが、ジュピターは何の反応も示さないままで。
亜美はわずかに濡れたその跡をそっと撫で、ジュピターの肩を抱いた。
しばらくそのままの状態でいると、わずかだがジュピターの体の力が抜けてきた。
ようやく顔を上げたジュピターの瞳は、まだどこか揺れたままだった。

「ごめん、なさい」
「謝ることじゃ、ない」

ちょっといろんなことが一気に噴き出したんだ、とジュピター。
何が彼女の中にそんなに蓄積していたのだろう、と思いながら亜美はただその背を撫で続ける。

「セレニティは、花を育てることに喜びを見出していたようよ」
「あぁ、知ってる……優しいやつだからさ」

でも辛くなるんだ、というジュピターの言葉は、なんとなく亜美にも理解できた。
これからあの優しいセレニティに降りかかるのは、きっと楽しいことばかりではないだろうから。
というよりもむしろ、辛くて悲しいことの方が多いだろうから。

「……今朝も、花が咲いたって呼びに来てくれたの」
「花……?花、咲いた……のか?」

目を丸くしたジュピターの表情は、先ほどよりも心なしか生気があった。
そうよ、とマーキュリーは自分が背にしていたバラを指さす。
それを見た瞬間のジュピターは、先ほどとはまた違った意味で、衝撃を受けたようだった。

「嘘だろ……あのバラが、咲いたのか……」
「嘘って……本当のことよ?」
「だってあれは……地球から持ち帰ったものだからさ」

まさか咲くなんて、とジュピターはそのバラに近寄り、その大きな手でそっとそれを包んだ。
その姿はまことのそれに似ているようでもあるが、どこかが違っている。

「地球から持って帰ったものは、咲かないの?」
「……何が合わないのか知らないけどさ……ここに咲くのは月で改良された植物ばかりだったから」

目を細めてバラを眺め、ジュピターは不意に亜美に視線を移した。

「……あんたが、咲かせてくれたんだな」
「私は……そんな」
「……魔法でも見たみたいだ」

ごめん、という言葉と、ありがとう、という言葉。
その二つが亜美の耳元で、優しく溶けていった。



マーズが足を止めたのは、いつも笑顔を絶やさないセレニティが珍しく泣いていたせいだった。
その涙が衣服に作る模様は、彼女が流した涙の量の多さを思わせ、マーズは思わず声をかけた。

「……プリンセス!」
「マ……マーーズーーッ!!」

マーズの姿を見て安心したのか、たががはずれたように泣き始めるセレニティ。
その耳をつんざかんばかりの声は、広い建物の空気を大きく震わせる。
このままでは騒ぎになってしまう、とマーズは近くの部屋にセレニティを連れ込んだ。

「……一体、どうしたのですか?」
「マ、マーキュ、リーとジ、ジュピ、ジュピター、が、ぁ」

喧嘩しちゃったの、と嗚咽交じりに話すセレニティの言葉を、なんとかマーズは聞きとる。
あの二人は一体何をやっているのだ、とマーズは大きくため息をついた。
亜美には目立つ行動を慎めと言ったはずなのに、と。

「それは、どこで?」
「バ、バラ、園」

ジュピターの、という言葉にやっとぴんときた。
大方通っているのがばれたとかそういう話だろう、とマーズは頭の隅で思う。
ジュピターにとって、あのバラ園は特別な存在だから。
あのバラ園には、彼女が大切にしていたというだけではない、別の意味も含んでいる。
まだ泣き止まないセレニティの体を優しく擦りながら、マーズはあのバラ園が生まれた日のことを思った。



優しそうな人、というのがマーズが抱いたジュピターの第一印象。
こんなのが果たして敵を倒せるのだろうか、と不安にもなったのだが。
そんな不安は、杞憂に終わった。
力だけなら、四守護神の中では突出していたのだから。
あんな心優しそうな人間がこうも戦闘では変わるものか、と最初の訓練でマーズは目を見張ったものだった。
ただ、その心優しさが、彼女にとっては最大の弱点でもあった。
訓練と実戦。
その二つの間にある大きな違いを、マーズは身をもって痛感した。

「ジュピターはダメね」
「……ダメ?」

ヴィーナスが冷たい表情で言い放ったのを、マーズは今でもありありと思いだせる。
ダメね、とゴミをごみ箱に放るかの如き冷酷さをもった表情を。

「あれ、実戦じゃ使い物にならないわよ」
「試してみなくちゃ分からないんじゃない?」
「見てれば分かるわ。あれは、生命というものを自分の手で断ち切ることに、強い抵抗をもっているもの」

そう言い切ってしまうヴィーナスの洞察力は、さすがリーダーと言うべきか。
その時は、マーズも素直に納得した。
だが、今思えば。
あの時そこまで気づいていたのなら、他にジュピターを救ってやれる術はなかったのかと思ってしまうのだ。
そんな会話から数カ月後だっただろうか。
ジュピターは突然、マーズにバラ園を作るのだ、などと報告にやってきた。

「……バラ園?」
「そ。シルバーミレニアムの裏の敷地、自由にしていいって話だから」

マーキュリーに許可も取ったし、とジュピターは嬉しげに話した。
それが他ならぬマーキュリーのためであることを、なんとなくマーズは察していた。
数カ月一緒に過ごせば、大体それぞれの関係も見えてくるというもの。
最初から、三人と自分の間に薄皮一枚隔てたような距離を保っていたマーキュリー。
そんな彼女を放っておけないジュピター。
マーキュリーに声をかけては無碍に切り捨てられるジュピターを、毎日掃いて捨てるほど目撃した。
何がそんなにジュピターを惹きつけるのか、マーズには理解できなかったが。

「バラ園なんて作ってどうするの?」
「いや、別にどうするっていうか……癒し?」

そんなもの、構っている余裕などすぐに無くなるでしょうに、なんてことは言わないでおいた。
今は、彼女の好きなようにさせたって問題はないだろうから。
後で聞いた話によれば、ジュピターはマーキュリーの冷たさの理由を知っていたというのだ。
誰かを殺した経験があるからだとか、全く生命の存在しない場所から来たからだとか。
様々な理由は聞こえてきたが、どれも憶測の域を出ない。
ただ一つ確かなことは、その理由を知ったうえでジュピターが選んだのが、バラ園だということ。
あまり感情を表に出そうとしないマーキュリーを、何らかの方法で癒そうとしたということ。
しかしそのバラ園も、いつしか手入れがなされなくなっていく。
そのきっかけになったのは、言うまでもなく実戦での経験のはずだった。
ジュピターにとって、生命を断ち切るという初めての行為。
ヴィーナスは、ジュピターが幻想から覚めてくれた、と喜んでいたような。
残酷ではあるが、結局のところここで生きていくとはそういうことなのだ、と。
マーズもその時頭の片隅でやっと理解したのだった。



「マーズ……やっぱり、止めに行かなきゃいけないよね」

まだ目を腫らしたままのセレニティが、か細い声でそう問うた。
マーズにも、どれが最善の策か分からない。
どれか一つの未来を選んだところで、別の未来が最善だったかどうかなど誰にも分かるはずはないのだが。

「私が、後で行きましょう。プリンセスは、少しお部屋でお休みになった方が」
「でも、二人ともすごく怖い顔してたよ?」

不安げなセレニティの指が、マーズの背中を掴んだ。
不意に、やはり自分には年下の世話など向かないな、と思った。
こういう時、セレニティを不安がらせるのは大体マーズとヴィーナスで。
セレニティを優しい抱擁で迎えるのは、ジュピターの役目のはずなのだ。

「大丈夫です……きっと」

言いながら、マーズには何が大丈夫なのかよく分からないままだった。
だが、セレニティはその言葉に少し安心したようで。
痛いほどに背中に立てられていた爪が、わずかに緩んだ。

「私が、悪いのかな」
「どうしてです?」
「だって……マーキュリーを、お庭に呼んだから」

でも、バラがすごくキレイだったのよ、というセレニティの言葉に、マーズはそっと頷く。

「プリンセスは悪くないですよ……あの二人の、問題でしょうから」
「……本当に?」
「えぇ」

ようやく安心したらしいセレニティの体をゆっくりと抱きながら、しかしマーズの顔は険しいままだった。
posted by ひるめ | 23:09 | 拍手ログ | comments(0) | trackbacks(0) |
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