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あわい

どうも、ひるめです。
年明けてからあんまり更新してなかったですね……。

正月ネタ書いてなかったので……でも正月も過ぎてしまったので……そんなまこレイ。
書き上げてみたらストーリーがあるようなないような←







それは嵐の後の静けさ、とでもいうのだろうか。
年始の忙しさを乗りきって、やっと十分に休めるわ、とレイが呟き、まこともお疲れ様、と声をかける。

「本当、毎年よくやるよ」
「そう?まあ……もう、慣れたわよ」

何事もなかったかのように笑うレイ。
忙しそうな彼女に手伝いを申し出たまでは良かったのだが、これが思った以上にハードな仕事で。
立ちっぱなしだった体は、少しひねっただけでゴキゴキと悲鳴を上げた。

「ま、今日はゆっくり休みなよ」
「それ、そっくりそのまま返すわ」
「あはは、そうかも」

畳の上に二人で座り込み、どちらからともなく笑いあう。
くたりとレイの体重がかかってきたが、まことは何も言わずそれを受け入れた。
風呂上がりの彼女から立ちのぼる香は、まことの脳内を緩く刺激していく。

「もう、寝るんだろ?」
「……まあ、明日早いし」

問いかけたことを悔やむ間もなく、するりと逃げていくレイの温もり。
だが、休めと言った手前引き戻すわけにも行かない。
仕方なく、まことはゆるりとそれを手放した。


「ん……」

ゆっくりと覚醒する中で、脳が認識したのは部屋の薄暗さ。
まだ深夜か、と思うと同時に隣の空間の寒さに気づいた。
それが気になって、一気に頭が冷えあがる。

「あれ、レイ……?」

寝る前には確かに隣にいたはず、というか彼女が先に寝てしまったから隣に滑り込んだはず、だったのだが。
いつの間にか彼女の姿は消えていて、丁寧に畳まれた布団だけが残されていた。
まさか、と部屋にある時計を探す。
黄緑色に浮かび上がったデジタル数字が示すのは、深夜とも早朝ともいえない時間。
昨日あれだけ疲れていたはずなのに、と思いながらまことも体を起こす。
外と中とを隔てるものが障子しかないレイの部屋は、それこそ凍りそうなほど寒かった。
それでも凍らず済んでいたのは、布団のおかげであるはずで。
それを思うと、レイのことが不意に気になった。
彼女が座禅をする場に立ち会ったことはないが、彼女の性格を思えば暖を取りながら、なんてことはしていないはずで。
よいしょ、と弾みをつけて掛け布団から抜け出て、上着を羽織る。
のそのそと立ち上がり、きりりと寒い縁側へと足を踏み込んだ。
足裏から侵食してくる冷たさ。
一歩踏み出すごとに、みしりと鳴る床。
まだ夜明け前の世界で、足元はゆらゆらと頼りない。

「寒ぅ……」

思わずつぶやくと、ふわふわと息が白く染まる。
それが改めて今の寒さを思わせ、ぞわりといやでも鳥肌が立った。
これならまだ、部屋の中にいた方が暖かいかもしれない。
この部屋だったはず、とそっと障子の向こうの気配を探る。
障子一枚隔てた向こうには、確かに人がいるはずなのに。
人の温度さえ感じ取れない気配に、まことは一瞬レイの存在を疑った。
障子を開けるか否か、逡巡する間にも外気に奪われていく体温。
やがて意を決して取っ手に手をかけると、音もなくそれは開いた。

「……あ……」

薄く開いた隙間からうかがい知ることができたのは、ぼんやりと浮かび上がるシルエット。
あれがレイか、と思った瞬間、まことの中を突き抜けていくおぼろげな不安。
それが何か捉えるより速く、まことは障子を乱暴に開けていた。
静けさに支配されていた空間を、無粋な足音が壊していく。
目を丸くしたレイの瞳が、ちらりと視界をよぎった。

「ちょっと、まこと?」

不意打ちだったためか、しっかりと組んでいた足がぐらりと揺れる。
ばさばさと衣擦れの音が耳を掻きまわしたが、まことは構わず回した腕に力を込めた。

「……どう、したの?」

腕からじんわりと温もりが伝わり、確かにレイの存在が腕の中にあることを示していた。
先ほど感じたざわめきが、ゆるやかに収まっていくのが分かった。

「……ごめん」

静かに囁き、レイの横顔を盗み見る。
最初こそレイは驚いたようだったが、やがて静かにまことの頭を撫でた。

「……よく寝てたから、起こすこともないと思って」
「ん、分かってる」

そんなことじゃないんだ、とゆっくり呟き、その腕を緩めると。
その間にするりとレイが体を反転させ、ゆるりとその視線に絡め取られた。

「じゃあ、どうしたの?」
「や、なんだか……不安になっちゃってさ」

言って、再度正面からレイを抱きすくめる。
今日はどうしたの、と呆れたようなレイのため息が聞こえ。
何故か、抱きしめているのに抱きしめられているような気になった。

「……消えちゃうんじゃないかって」
「え?……何、どういうこと?」
「うまく、説明できないけど」

とにかく、その場から煙のようにレイが消えてしまいそうで。
息をする間にさえ消えてしまいそうで。
どうしようもなく、不安になった。

「レイがここにいるのに……いないような感じがしたんだ」

言いながら、ふと昔亜美に聞いた話を思い出す。
巫女という職業は、霊界とこの世界をつなぐものなのだと。
この世にも、あちらの世界にも、しっかりと足をつけていないようなレイの存在。
その不安定さが、坐禅に励むレイを見た瞬間、まことの心に去来した。

「……ちゃんといるわよ」
「うん、知ってる」

ゆるゆるとレイの手がまことの髪をすり抜ける。

「まことって、意外と臆病なのね」

臆病、といわれてずきりと胸が音を立てた。
知っている。自分はきっと他の誰より臆病だ。
繋がれた手をレイに優しく擦られ、まことは呟く。

「……臆病、だよ」

大切な人を失うのは、怖いから。
自分の知らないところで、大事な人がいなくなるのは。
それは言いようの知れない、恐ろしさだから。

「……レイ」

その名を呼んで、確かめるように頬を撫で。
吸いつくようなその肌に、ほっと安堵した。

「レイは、大切な人だから」
「……勘違いするでしょう」
「……して、いいよ」

言って、レイの言う勘違いとは一体何なのだろう、とぼんやり思う。
それが、まことの思うそれと同じであったなら良い、とも。

「……まこと」
「ん?」
「私は、どこにも行かないわよ」

レイの言葉は気負いでもなんでもない。
ただ、それがさも当然のことであるとでも言うように。
その力強い言葉に包まれると、不意に眠気が襲ってきた。
安心したら、どうも体の方が素直になったらしい。
心地好いレイの腕の中で、まことはしばしまどろみに揺られることにした。






どうも、ひるめです。
気づけばお久しぶりでした。
申し訳ないです。
現代国語の評論文を読んでいたら、巫女さんの話題が出ていたのでつい←

まこちゃんって誰かがいなくなったり、独り取り残されることに抵抗を持っていそうだなと。
そんなことを思ったりします。
レイちゃんも結構ふわふわした存在のような気がしますしね。
でもきっとまこちゃんの元には帰ってくるんじゃないでしょうか……なんて。
posted by ひるめ | 19:32 | まこレイ | comments(0) | trackbacks(0) |
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