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あえかなる

どうも、ひるめです。

……うっかり裏前世(パラレル鬱)なんてものを受信してしまい。
書き上げるのに結構な時間がかかってしまいましたヽ( ´ー`)ノ

いろいろと勝手にねつ造しています。
マキュ←ヴィナ
 |
ジュピ←マズ
という関係が前提でのヴィナマズ。注意。







嘘つき、と彼女は言う。
言いながら、それでも弄ばれるのを拒まない。

「……マーズ」

掠れた声で名を呼びながら、さらりと流れる髪を梳く。
こんなに長さがあるのに、指は何の抵抗もなくするりと最後まで到達した。
そう、拒まない。
マーズの全ては、私を拒むことをしない。

「……好きよ」
「嘘つき」

ただ、言葉だけは。
それだけはどうしようもない。
口でだけ、うわべだけ、マーズは私を拒むのだ。

「……嘘なんて、つかないわよ」

そうやって、私のことを否定するなど望んでいないくせに。
嘘つきだなんて、思っていないくせに。
私の言葉が本当だと、信じていたいくせに。
それでもマーズは、嘘つきとくり返す。
これ以上彼女の口からそんな言葉を聞きたくなくて、私は無理やりそれをふさいだ。
くぐもった向こうで、試みられる形だけの抵抗。
それも、しばらく舌先で遊んでいたら急におとなしくなった。

「……は、ぁ……」

ほろりとこぼれ落ちる滴。
指でなぞってすくえば、微かにくすぐったそうに頬が跳ねた。

「私は、嘘なんてつかない」

抗えないくせに。
私から、逃げることさえできないくせに。
マーズの体重が乱暴に降ってきたのを、何も言わずに受け止める。
いつもぐずぐずと、赤子のように気まぐれなマーズ。
彼女の中に、いつしか芽生えていたのは。
私じゃない別の人間にそそがれる恋慕。
それを思えば、マーズだって"嘘つき"のはずなのだ。
肩に預けられた体から伝わる鼓動は、とくとくと速い。
やがてそれが少し落ち着いてくると、マーズはまた不意にゆるりと起き上った。
どうしたのだろうと振り向けば、彼女の瞳の中に宿る深い光。
濃い紫の瞳は、先ほどの名残でまだ少し潤んでいる。
それは決して、あの子のそれと似ても似つかないのに。
どうして、重ねてしまうのだろう。
そして私の瞳だって、淡い青のはずなのだ。
あの深い緑には、重ねることさえできないだろうに。

「……マーズ?」
「用事、思い出した……から」

また来る、とだけ言い残して、マーズの背中は足早に去っていく。
それを眺めながら、私はさっきまでの気分の高揚が不思議なほど冷めていくのを感じていた。


      *       *       *


まだ心臓が、痛いほどに脈打っていた。
また来る、なんて、嘘つきも甚だしいのは私の方。
でも、違う。
ヴィーナスの"嘘"と、私がつく"嘘"と。
どちらも事実と異なっている、という点では嘘だけれど。
罪深いのはどちらかしら。
まだ生乾きのままの唇をなぞると、それだけで背筋が震える。

「……ヴィー、ナス」

違う。私が呼びたいのは、その名ではない。
それを、ヴィーナスだって知っているくせに。
知らないふりをする。
気づいていないふりをする。
そして、笑うのだ。貴女が好きよ、なんて軽く言い放つ。
用事があるなんて、嘘だった。
ただ、あそこにとどまりつづけることが苦痛だっただけで。
そして、この時間なら、ジュピターは恐らく部屋にいるはずだった。
会いたい、なんて。
安直な動機だわ、などとそんなことを思いながら、それでも足は彼女の部屋へ向かう。
彼女の部屋は、ここからそう離れてはいないから、行こうか行くまいか、悩む暇さえない。
でも、手をかけようとしたその扉が微かに開いていて。
それだけのことで、底知れない不安にかられる自分を、否定することができなかった。
褒められた行為でないと分かっていても、そろりとドアの向こうに耳を傾ける。
彼女が、今は一人であることを確かめるように。
私にも、まだ入りこむ隙があると確かめるように。
しんと静まった部屋の気配に、単なる杞憂だったかと思ったのもつかの間。
微かに聞こえた、湿った声。
それが、楽しく仲間と語らいあっているものでないことくらい、私にも分かる。
艶めかしい色を帯びた声――その声を、私は知っていた。
いつもは冷静な、我らがブレーン。
ごくりと飲み込んだ唾液が、喉の奥をじりじりと焦がす。
がちりと体が固まったまま、前にも後ろにも進めない。
その硬直状態を解かしたのは。

「あら、用事があったんじゃなかったの?」
「……ッ?」

背後から響く、鋭利な言葉。
背筋を、嫌な汗が伝っていく。
振り返るまでもない、いや、振り返りたくない。
自分の爪が扉をかすり、耳障りな音を立てた。

「……あー、邪魔だったかしら」
「ヴィー、ナス……」
「でも、一番邪魔なのはあなたでしょう」

特にあの二人にとっては、と壁の向こうを指さすヴィーナス。
その顔に浮かぶ表情は、どこか蜘蛛の糸を思わせた。
その美しさに見惚れて、少しでも近付いてしまったら。
絡め取られたなら、最後。

「……手の届かない星に焦がれることほど、虚しいこともない」
「何、の話」

必死になって言葉を探す。
無様だ。なんて無様なのだろう。
それを分かっていても、取り繕いたいと思ってしまう自分がいる。
吐きそうなほどの嫌悪感を覚えながら、それでも。

「ねえ、マーズ」

腕を広げて、どうして優しさなど私に向けるのか。
どうして、今更。

「来て」
「……嫌だ」

消え入りそうなほど小さな声。
簡単に振り払えそうにも見えるのに。
捕えられたが最後、もがけばもがくほど纏わりつくのだ。

「……そう」

でも、そう言い放つヴィーナスに、胸の奥を掴まれる。
全てを無視して去ろうとしても。
計算の上での行動だと思いこもうとしても。
ヴィーナスの声色に、心が揺さぶられる。

「ヴィーナス」
「……何?」

思わず呼び止めて、若干の後悔を覚えたけれど。
それは、知らなかったふりをした。

「……そんな顔、しないで」
「あら……どんな顔?」
「どんな、って」

悲惨なのは貴女の方でしょう、と。
何もかもを包み隠して、ヴィーナスは首を傾ける。
鋭さに関しては誰よりも負けないという自信があるのに、それでも彼女の心が読めない。
その腕の中に飛び込むべきか否か、少しだけ悩んだ後。

……結局私は、その腕の中に帰った。






ガラでもないのに暗いです。
……爛れてるなあ……救えないなあ……。
そんなヴィナマズ。暗いのも案外嫌いではないんですけどね。
続くかどうかは未定……です。
posted by ひるめ | 20:31 | 美奈レイ | comments(0) | trackbacks(0) |
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