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いぬとねこ side Makoto

冬です。寒いので。
まこレイで雪の日の話でも。
……でもレイちゃんほとんどしゃべってないです。







ひゅん、と鋭い音を立てて耳元を掠めていく白い塊。
これがあの単なる氷の塊だとは、到底思えない。
それをかわして逃げながら、まことは上がりきった息を整えるために立ち止まった。

「……にしても、元気だよなぁ……美奈って」

はぁはぁと荒い呼吸に合わせ、ふわふわと白く染まる空気。
最初こそ必要だったジャケットも、今では煩わしさしか覚えない。
それを脱ぎ捨ててどさりと縁側に投げるまことに、レイが呆れた声をあげる。

「まだやってるの?」
「や、まあ……」

向こうがヒートアップしてるからね、とまことは肩をすくめてみせた。
だが、レイはそこまで興味もなさそうな様子で。

「……まあ、好きなだけやれば良いけど」
「あー……うん」

言いながら、まこともやれやれ、とため息をつく。
しかし、原因を作ったのもまたまこと自身。
向こうが冷めてくれるまで、付き合うほかなさそうだった。



この冬一番の寒気がやってくるという話のとおり、昨夜から久々の雪が降った。
雪、というだけで気分が高揚してしまう自分に、単純だなぁなんて思いながら。
それでも、普段とは違う日常に、まことは浮足立っていた。
一夜明けて訪れた火川神社も、例外なく真っ白に染まっている。
そこまで厚く積もってはいないものの、これなら雪合戦くらいはできるだろう。
そう思って喜んでいたまことを迎えたレイはしかし、そこまで乗り気では無い様子。
少し前に彼女の部屋に登場したこたつの中で、くるりと丸まったまま動きもしない。

「レイ、雪合戦――」
「嫌だ」

しようよ、と言う隙さえ与えられず、まことの言葉はばっさりと切り捨てられる。
端から快諾してもらえるなどとは思っていなかったが、ここまで素っ気ないとは。
寒いわね、なんて呟いて更に身を縮めるレイに、まことは頬を膨らませた。

「なんだよ、少しくらい付き合ってくれたっていいじゃん」
「……他とやって」

もう少ししたら美奈も来るでしょう、というレイ。
それにひっかかったまことは、あれ、と首をかしげる。

「今日……あの二人来るんだっけ」
「なんだか計画がだめになっちゃったらしいわよ」
「へえ……」

とは言われても、今この火川神社にいるのはレイとまことだけ。

「でも……まだ来てないし」
「……一人でやってれば?」
「なんでそんなにつれないのさ」

雪合戦くらい、付き合ってくれれば良いのに。
別に無理な運動を強いるわけではない、ただ楽しく戯れる程度で良い、と言ってみても。
レイは頑なに首を横に振る。

「寒いじゃない」
「動いたら温かくなるって」
「それまでが寒い」

とにかく嫌、と言うレイは、てこでも動きそうにない。
こうなってしまっては説得も何もないな、とまことは仕方なく引きさがる方を選ぶ。
しぶしぶ神社の脇から表へ出ると、まだ真新しい白い地面に、先ほどまことが通ってきた跡だけが残っていた。

「……でも、なあ」

美奈子たちがやってくるまでの間、この中途半端な時間をつぶさなければならない。
何か暇つぶしになりそうなことはないか、と見渡したまことは、ふと一本の木に目をとめた。
葉がすっかり落ち、枝だけになったそれの中にできた、わずかな隙間。
ちょうどボール一つが通り抜けそうなその空間は、何かを投げ入れたい衝動を駆り立てた。
あれならば、とまことは足元の雪をかき集める。
軽い力で放った雪玉は、目標より少し脇にそれて白く弾けた。
惜しい、と呟き再び雪玉を放る。
だが、意外にも小さいらしいその隙間に、雪玉は素直に取ってくれない。

「えいっ!」

何度目かの雪玉を投げた時、それは起こった。

「あ、美奈っ……!」

聞き覚えのあるその声が、軽い悲鳴をあげるのと。

「えっぶわっ」

金髪リボンに雪玉が弾けるのとは、ほぼ同時だった。
しまった、とまことが思った時にはもう遅い。
不意打ちだったらしいその雪玉を頭に受け、振り返った美奈子の周囲に、キラキラと雪が舞う。
綺麗だな、なんて呑気なことを考える間もなく。

「な、何するのよぉ!」
「あ……ごめん、美奈」
「ごめんじゃ済まないー」

まこちゃんの玉痛いんだから、と非難がましい目をまことに向ける美奈子。
横にいた亜美がたしなめようとするが、美奈子はどうも収まらないらしい。

「今日の私は虫の居心地が悪いんだからね!」
「……美奈、それを言うなら虫の居どころが悪い、じゃないかしら」

ぐ、と握った拳をやり場なくさまよわせ、そっとその手を下ろし。

「そ、そうとも言うわ!」
「いやそうとしか言わないだろ」
「とにかく!まこちゃん、売られた喧嘩は勝ってやるわよ」

びしりと向けられた指先に、喧嘩なんて売った記憶なんて無いんだけど、とまことは思う。
だが、相手はどうも気が立っているらしく、下手に反論したところで、納得などしてくれそうもない。

「でも喧嘩なら負ける気しないけど」
「そう!まともにまこちゃんと喧嘩しても勝てない!」
「……えーと?」
「雪合戦よ雪合戦!これならたぶん勝てる!」

おあつらえむきに雪もたくさん積もってるし!と美奈子は既に準備万端の様子。
そばにいた亜美もついでに巻きこんで、その戦いは一方的に始められた。



「美奈もよく飽きないよな」

あの美奈子の性格なら、そろそろ飽きてくるのではないかと踏んでいたまことだったが、その予想は大きくはずれた。
よっぽど何か鬱憤でも溜まっていたのか、乱暴に投げつけられる雪玉には恨みさえこもっているのではないかと思えるほど。
雪玉の生産を亜美に任せ、攻撃は美奈子が行うという分業によって、まことにとっては苦しい戦いが続いている。

「まこちゃーん、どこ行ったのよー!」

遠くから聞こえる美奈子の声は、まだ元気一杯。
自分に被害が及んではたまらないと踏んだのか、レイも行きなさいよ、とジェスチャーする。

「……じゃ、まあもう少しだけ」

手を振ってレイに背中を向けたまことだったが。

「早く、戻って来てよ」
「え?」

ぽつりとつぶやかれたレイの言葉に、ふと動きを止める。

「……じゃあ、こっち来れば」
「それは嫌」

とにかく、さっさと帰ってきて、と言うレイの頬はどこか赤かったようにも見えた。
そんなレイの様子に、まことの表情がふにゃりと崩れる。
しかし、幸せな気分はそう長く続かない。

「どおりゃぁっ」
「ぶわっ」

まことが神社の陰から顔を出した瞬間、その横顔に弾ける雪の欠片。

「……美奈、お前なあ……」

少しはタイミングを考えろよ、と言いかけたまことは、美奈子の姿に思わず言葉を失う。
片手に大量の玉を抱え、にやり、と不敵な笑みを浮かべる美奈子。

「え、ちょ、待った」
「待たないっ」

えい、と投げつけられる雪玉を避け、まことも手近な場所の雪を掴む。
だが、投げつけられる雪玉は容赦なく飛んでくる。
それはずるいんじゃないか、とまことに反論さえ与えない。

「でぇいっ!」
「ぉわっ」
「とぉーっ!」
「ぬわっ」
「とりゃーっ!」
「ああぁあっもう!」

間髪いれず投げつけられる白い塊。
それが不意に止んだのを不思議に思い、まことが顔を上げてみれば。
当の美奈子は、きょろきょろと周囲を見回して首をひねっている。

「……美奈?どうした?」
「……亜美ちゃんは?」
「あれ……そういえば」

言われてふと我に返ってみれば、狭い境内の中で立っているのはまことと美奈子の二人のみ。
美奈子のために雪玉を生産していたはずの亜美の姿は、いつの間にやら消えていた。

「つきあいきれなくなったとか」
「……嘘ぉ」

そう言いながらも不安になったのか、美奈子の動きが固まる。

「ど、どこに行っちゃったのかしら」
「……レイのところ、とか?」
「それだ」

ぽんと手を打ち、美奈子は神社の裏へ走り出す。
これは休戦ということかな、とまことも息をついてそれを追えば、鼻をくすぐるのは甘い香り。

「あー、亜美ちゃんずるいー」

美奈子が指さす先では、レイと亜美がこたつに入ってぜんざいをすすっていた。
なるほど、この甘い匂いはぜんざいのものだったのか、とまことは一人納得する。

「まだ十分あるわよ」
「んー……でも」

そういう意味じゃなくて、と言いたげだった美奈子だったが、差し出された椀はしっかり受け取り。
おいで、と手招きする亜美にも素直に応じ、するりとこたつに入りこんだ。
縁側に座り込むまことにも、レイが椀を運んでくる。
そのまま横に座るレイに、寒くないのかと尋ねかけ、まことは言葉を呑みこんだ。
下手に聞けば、またどこかへぷいと行ってしまうような気がして。

「で?楽しめたの?」
「まあ……そこそこってところ?」
「……そう」

向こうから聞いてきたくせに、レイはさして興味もなさそうな顔。
そんなレイを横目に、まことはレイに渡されたぜんざいを食す。

「うん、美味しい」
「……なら、良かったわ」
「レイが作ったの?」
「まあ、ね」

椀からじんわりと指先に伝わる、柔らかな温もり。
ゆるりとしたレイの体温を隣に感じながら、まことはその甘い幸せに身を任せた。






どうも、ひるめです。
冬ですね。寒いですね。
広島で寒いなんて言っていたら大したことはないだろうなんて言われそうですけれども。
一番寒かったのは先週の土日あたりでしょうか。
久々に雪が積もったので、兄弟たちと公園ではしゃいだり。
雪合戦なんて本気でするものではないですね。
雪合戦ごときで筋肉痛になる自分に、運動不足を痛感しましたヽ( ´ー`)ノ

タイトルは迷った挙句「いぬとねこ」に。
童謡の「雪」で「犬は喜び 庭駈けまはり、猫は火燵で丸くなる。」なんて歌詞があるので。それだけです。
posted by ひるめ | 15:35 | まこレイ | comments(0) | trackbacks(0) |
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