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拍手を……更新しました……。

どうも、ひるめです。

受験戦争真っただ中……のはずなんですが、どうにも実感がわきません。
恐らく塾なんかに行っていれば殺伐とした雰囲気に直に触れられるんでしょうが……塾行ってないのでどうにもよく分かりませんヽ( ´ー`)ノ
しかし、人の話を聞いているとひえーってなりますね。大丈夫か私……。
……まあ、地道にやってます、1人でヽ( ´ー`)ノ

そしてこんな中更新……えええ。
電車の中なんかで、iPodでぽちぽちと打った結果です……思ったより長くなりました……。
これで完結……です。はい。
遅くなって申し訳ないです……。
まだいろいろと想像……もとい妄想していたシーンもあったりするのですが、形にする時間がなさそうです。
また暇になったらぼちぼち書けたら、いいなぁ……。
続きから前回のログです。







その朝、亜美は無理やり覚醒させられた。

「ん……な……」

寝起きで鈍い脳が状況を理解しようと奮闘する。
薄目を開けて目に入ったのは、深い緑の瞳。

「アミ!は、早く!早くしてくれ!」
「な、何なの……?」

そんなに寝起きの良い方ではない亜美も、この時ばかりは目を覚まさざるを得なかった。
寝巻にガウンを羽織っただけの姿で、亜美の肩を揺するジュピター。

「ちょ、ちょっと待って……一体、何が」
「来れば分かるから!とにかく早く!」

乱暴に腕を掴まれ、亜美も慌てて手近にあった上着を手に取る。
半ば引きずられるようにして廊下を進む中。
亜美の視界を通り抜けていった風景は、しかしジュピターが言うほど慌ただしさも感じない。

「何、が起こったの?」

周囲の状況とジュピターの焦燥との落差に、亜美は内心首をひねる。
だがジュピターは、着けば分かるとしか言わないままに歩を進めていく。
おとなしくそれに従っていると、ジュピターが立ち止まったのは亜美も何度か訪れたことのある場所。

「……医務室?」

何故ここに用があるのだろう、と亜美が聞くよりも前に、何かが割れる音が中から響く。
その鋭い音に、亜美の脳が一気に緊張した。
次いで聞こえてくるのは、何か言い争うような声。
あれはヴィーナスの声だろうか、だとすれば相手は一体。

「……開けるぞ」
「えぇ……」

がちゃり、と勢いよく開けられた扉の向こうで、亜美が捉えられた人影は三つ。
うち二つのロングヘアーは、マーズとヴィーナスのようだった。
そして、マーズが羽交い絞めにして抱える人影は。

「プレイオネ……ッ?!」

思わず漏らした亜美の声に、マーズとヴィーナスが振り返る。
マーズの腕の中でぎりぎりと暴れるのは、紛れもなくプレイオネその人。
最近のプレイオネは、目覚めても落ち着いた物言いをしていたはずだった。
それが今は、メタリウムを初めて口にした日のような光のない瞳をしている。

「……ぅ……ち……ぅぅう……ち、きゅ……」
「……メタリウムが無害だなんてことはなかったわね」

唸り声をあげるプレイオネの顎に手を添え、その顔を覗き込むヴィーナス。
プレイオネがこんな風になってもまだ、彼女の表情は冷たいままで。

「……いつから、こんなことに……?」
「今朝から、ね」

言いながら手招きするヴィーナスに応じ、亜美は彼女の傍へと歩み寄る。
ヴィーナスはそのまま、開いた手で窓の向こうを指し示した。
その先に目をやると、亜美の視界に入るのは輝く太陽。
まだ朝早いせいか少し弱い光は、しかし寝起きの亜美の頭をちくちくと刺激した。

「太陽……?」
「異様なエナジーを感じるの……」

マーズの声が背後から聞こえ、亜美のそれが亜美の記憶の奥を揺さぶる。
太陽、異様なエナジー、地球……。
それらのキーワードがぐるぐると回り、やがてかちりと音を立てて何かが繋がった気がした。

「……黒点……」
「あら、物分かりが良いのね」

半ばからかうようなヴィーナスの肯定をよそに、亜美は胸がざわつくのを抑えられなかった。
太陽の異常な活動、黒点の膨張、それはつまり。
世界が終る、と不意に思った。
戦士の直感、とでもいうのだろうか。
亜美の中の何かが、危機を感じて警鐘を鳴らす。
しかし、亜美の中には別の部分が、いたずらに不安がる自分を押しとどめる。
歴史が違う、何かおかしくないだろうか、と。
何よりも違和感を覚えるのは、セレニティのこと。
エンディミオンは、セレニティは、彼らが身を焦がしたあの恋は。
セレニティを見ていれば、それが始まってさえいないことはすぐに分かる。
一体、今何が起きているのだろうか。
どこかで歴史が変わったのだろうか。
思考をフル回転させ始めた亜美だったが、不意に揺さぶられた肩にはっと我に返る。

「アミ、大丈夫か?」
「あ、ご、ごめんなさい……」

こちらを気遣うように揺れる瞳は、これが夢でないことを嫌でも亜美に認識させた。

「……とにかく、プレイオネをなんとかしないと」

そう言ってマーズが体勢を整えようとしたその時。
プレイオネが無理やりにそこからすり抜ける。

「あっ……!」

しまった、とマーズはそれを追おうとするが、プレイオネはそこから逃げる風でもなく。
ゆらりと仁王立ちになり、焦点の合わない瞳で亜美を見据えた。

「……ぅ……きゅう……ち、きゅう……」
「……地球……?」

うわ言のように繰り返される唸り声の中で、ふとはっきり聞こえた言葉。
恐る恐る問い返す亜美に対し、正気を失っているはずのプレイオネは、しかし微かに頷く。

「え……地球……?」
「あ?……どういうことだよ、地球って」
「……何て、こと……」

三人がそれぞれに動揺するなか、プレイオネはゆらゆらと歩を進める。

「あ……ちょっ、と……」

ゆらり、ゆらりと頼りなげな足取りで、亜美との差をつめるプレイオネ。
その様子に亜美は、そこからただよっていた不気味なまでの敵意が、いつの間にか消えていることに気づく。
ちらりとその奥にプレイオネ自身を見た、と思った次の瞬間には。
しかしそれも消えて無くなっていたのだった。

「……い、く……ぃ、くうぅ……ち、きゅ……う……」
「いく……行く?地球、へ?」

助けを求めるかのように掴まれた腕に、亜美はやり場なくヴィーナスたちを見やる。

「……無理よ」
「でも……プレイオネは、それを望んで――」
「無理……無理よ、地球へ行くなんて……!」

亜美の反論を遮って叫んだヴィーナスは、強い光で亜美を射抜いた。
やはりダメか、と亜美が顔をしかめた時、別の声が横からそれに意を唱える。

「……いいんじゃないか、行っても」
「な……ジュピター、あなた自分が何を言ってるか分かってるの?!」
「分かってるよ……簡単な話だ」

プレイオネが暴れた時は、四守護神が仕事をすればいいだけの話だ、とジュピターは事もなげに言い放った。

「地球へ行けばいいんだろ?簡単な話――」
「そんな簡単に行くわけないでしょう!」

ふざけないでよ、とジュピターも切り捨てるヴィーナス。
しかしそこへ、マーズまでもが異を唱える。

「私も……行ってみても良いんじゃないかと思うわ」

状況が変わるなら、行った方が良いんじゃないかしら、と。
そんなマーズの言葉に、ヴィーナスは今度こそ大きく目を見開いた。

「……みんな、何を……」
「地球へ行くって言ってんだよ」

そうだろう、とジュピターがマーズや亜美の顔を確認するように見まわす。
亜美はもちろん、マーズもそれに静かに頷いた。
その様子に、ヴィーナスは信じられないわ、とでも言うように首を横に振る。

「……好きに、すれば良いわ」
「……お前も来るんだろ?」
「……リーダーである以上は、ね」

苛立ちを滲ませて言い捨てると、ヴィーナスはちらりと亜美にしがみつくプレイオネを見やり。
そしてそのまま何も言わず、医務室から去って行ってしまったのだった。

「あいつ……一体、何考えてんだ」
「……放っときましょう。とにかく、今はプレイオネの方が」

言いかけてプレイオネに視線を移したマーズが、あら、と動きを止める。
つられて亜美もプレイオネの様子を伺えば、当の本人はくたりとその場にうずくまっていた。
それを認識すると、途端に亜美の体がプレイオネの体重を実感したようで。

「あ、あぁあっ」

プレイオネを支えきれずふらりとバランスを崩した亜美を、すかさずジュピターが後ろから支える。

「……地球へ……行くしかないよな」

確かめるように呟いたジュピターの言葉は、静かにその場へ落ちていった。


ピリリ、ピリリ、と甲高いノイズが耳に刺さり、まこととマーキュリーは不意に我に返った。
緊急に戦士たちを呼び出す際に使用される通信機。
その発信者を確認し、まことは隣にいたマーキュリーの手をひいた。
多くを語る必要はない、今はとにかく現場へ急ぐのみ。
そう考えて家を飛び出そうとしたまことだったが、背に感じた微かな抵抗に足を止めた。

「マーキュリー?」
「……待っ、て」

驚いたことに、彼女の瞳は不安げな色に揺れている。
そこにただならぬ雰囲気を感じ、まことは改めてマーキュリーに向き直った。
逸る気持ちはあるものの、マーキュリーの様子も放っておけそうにない。

「……どうしたんだい」

努めて柔らかい声で、そう問う。
空いている方の彼女の手には、常に肌身離さず身につけていた亜美のメガネが握られていた。
それをかけると、彼女は別人のように饒舌になる。
冗談ではなく、本当に彼女はメガネ一つで態度が一変するのだ。

「それ、持って行くの――」

かい、と問う前に、それを遮るようにマーキュリーは大きく首を振る。
まるで何かと闘うように、何かを振り払うように。

「……これを、かけたら……私は……私は、マーキュリーに、なれる……の」
「……マーキュリーに、なれる?」
「ゴーグルを装備することで……私は、戦える」

マーキュリーとして、戦士としてのスイッチが入る。
しかしそれでは駄目なのかもしれない、とマーキュリーはぽそりと呟いた。


「駄目……?どうして、駄目なんだい?」
「戦士であるマーキュリーは……皆の命を、背負う、存在だから」

自分の思いだけで行動することは許されない、それが知性の戦士、マーキュリー。
メガネをかけることで、自分をそんな戦士に昇華させるのが、今まことの前にいるマーキュリーという少女。
前世ではゴーグルをかけることで、マーキュリーは戦士マーキュリーに変身していたのだろう。

「私は……私、は……」
「……戦いたい、のかい」

マーキュリーの本心は、きっとそうだっただろう。
だが、マーキュリー自身はどうしていいか分からない、というように目の奥を震わせていた。
それを認めてしまえば、前世で戦っていた自分自身を否定しまうような気がしたのだろうか。
それとも、自分の存在意義が否定されるような気がしたのだろうか。

「私は、強制しない。……でも、どんな形であろうとマーキュリーはマーキュリーだよ」

戦士であっても、そうでなくても、その奥にいるのはマーキュリーという一人の人間なのだから。
それにさ、とまことは付け加える。

「あたし馬鹿だからさ……戦う理由なんて、そんなに崇高なものじゃないんだよ」

ただ、隣にいる人の幸せを守るために、夢を守るために、未来を守るために。
言葉にすれば、どうしようもなく照れくさいセリフだ、とまことは笑った。
しかしその思いはずっと不変だ、恐らく前世のジュピターだって。
マーキュリーはわずかに逡巡したように視線をさ迷わせていたが、やがて何かを決めたように握っていたメガネを手離した。

「マーキュ――」
「行き、ましょう」

でも、と言いかけた言葉をまことは呑みこんだ。
きっと今のマーキュリーが必要としているのは、これ以上の思いを吐露することではないのだろう。
それは、その表情からも何とはなしに感じ取れた。
むしろ、否応なく体を動かさなければならない状況の方が、彼女にとって大事なのかもしれない。

「……分かった」

今度こそ、迷いはない。
こくりと頷いたマーキュリーを確認して、まことは彼女と二人で家を後にした。


現場へ到着してみると、そこには既に二つの人影があった。

「レイ、美奈……!」

まことに気づいた二人は、マーキュリーの姿を認めて驚いたような色を浮かべる。
だが、それもほんの一瞬。
二人は鋭い瞳で、再び敵と対峙した。

「さて……どうしようかしらね」

美奈子の呟きを聞きながら、まこともそれをまじまじと眺める。
以前まことが一人で戦った時の物と、似ているような、そうでないような。
ただ一つ言えることは、それが以前の物より一回り大きい、ということ。

「さすがに、二人じゃ無理……だと思って」
「それは……そう、だろうな」

相手の戦力は、前回の戦いで証明されたばかり。
ならばそれ以上の能力を持っているであろう敵に、無闇に手を出すのは賢い判断ではない。
後から聞いた話によれば、美奈子とレイ、それからうさぎ。
三人の力でかろうじて倒したということから、相手の能力の大きさがうかがい知れる。
変身しよう、とまことたちが構えた時、背後から聞こえたのは呑気な声。

「うわあぁあ、みんなー」

足元に黒猫を従えて、大げさな動作で手を振る彼女は、まさしく現世のプリンセス。
遅いわよ、という仲間の言葉に、これでも急いで来たのに、と笑って。
その姿に、マーキュリーの体が微かに震えるのを、まこと一人が感じていた。
うさぎの笑顔に、マーキュリーは一体何を思っているのだろう。
不意に不安にかられたまことは、マーキュリーの手を握る。
力なく返ってきた掌からは、やはりどこか迷いが感じられた。

「……マーキュリー」

大丈夫かい、と言いかけたまことの視界の隅で、ちらりと揺れたのはレイの視線。
改めてレイを見れば、彼女はやれやれ、と言った風に小さく息をつき。
それから、つかつかとまこととマーキュリーの元へ歩み寄る。

「レイ――」

また、マーキュリーを追い詰めるような言葉でも吐く気だろうか。
レイが纏う空気からはそんな気迫さえ感じられて、まことは思わず二人の間に割って入る。
そんなまことの様子に、レイはちょっとどいて、という瞳。
すっと細くなるその瞳からは、しかし意外なことに刺々しい感情は読みとれない。
何を言うつもりなのだろうか、身を硬くするまことをよそに、レイは口を開いた。

「マーキュリー」
「……何、かしら」
「あなたは……どれだけのものを背負う気でいるのかしら」
「……?」

レイの口からこぼれた言葉が予想外のもので、まことの気が一瞬緩んだ。
それをついてまことの体をかわし、レイは更にマーキュリーへと迫る。

「あなたの背中に背負えてしまうほど、私たちは軽くないわよ」
「何が、言いたいの?」

静かな口調で応じるマーキュリーの声色。
しかしそこに微細な動揺が滲んでいるのを、まことは聞き逃さなかった。

「それからもう一つ……私たち四人じゃ背負えないほど、あなたは重たくもないわ」
「……さっきから何を――」

マーキュリーの言葉の端々に、見え隠れする苛立ち。
先ほどから投げかける質問を、受け流されるせいなのだろうか。
それを知ってか知らずか、レイは低い声でゆっくりと言い放つ。

「だから、預ければいいのよ……あなたの背中を」

その言葉を聞いた瞬間のマーキュリーの表情を、まことは知らない。
それを受けてうさぎが笑い、そうだよ、簡単なことだよ、と言った時のマーキュリーの顔を。
任せといて、と美奈子が親指を突きだした、その時のマーキュリーを。
繋がれた手は細かく震え、それはそのままマーキュリーの心のようだった。
だからまことも振り返る。

――一緒に行こう。

そう言うために。
posted by ひるめ | 23:38 | 拍手ログ | comments(0) | trackbacks(0) |
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