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これからも、二人で -1-
どうも!毎日暑いですね!
暑いのとはあまり関係がないですが、こんなまこレイできました。

君の名を呼ぶの続き、というか後日談。
まこレイ初デートってたぶんこんな感じかなと。

 

 

 

――なぜ、私はこんなことをしているのかしら。

レイは今日何度目かわからないため息をついて、地面に目を落とす。
数分前に買ったアイスコーヒーの缶はすでにじっとりと汗をかき、不意に垂れるしずくがアスファルトに小さなしみを作った。
じりじりとうなじを焼く太陽と、からっとした空気。
ここまでピクニック日和、という言葉にピッタリな日もない。
それなのに。
ちらりと目をやる腕時計がさす時刻は、待ち合わせ時刻からゆうに20分は過ぎている。

「……何かあったのかしら」

こうも待たされると、さすがに心配になってくる。
それも、相手がうさぎや美奈子ならまだ分かるが、相手があのまこととあっては。
彼女なら時間に遅れることはないだろう、むしろ本でも読んで待っているだろうと思っていたのに。
片手で携帯を眺めてみるが、待ち受け画面には何の通知もない。
律儀な彼女なら、遅れるにしてもメールの一つも来ていそうなものだがそれもない。
手の中で缶を転がしながら、缶コーヒーを買ったのは失敗だったとふと思う。
今ここで開けても良いが、彼女が来てしまったらある種荷物になる。
カバンに入れることもできないのでずっと手に持っているしかない。
大した重みがあるわけでもないが、ふたのできない缶飲料は持ち運ぶのには少し煩わしい。
手の中でそれをもてあそぶと、手の中を雫が伝う。
まことが来るであろう方向には、人影の一つも見えない。
それでも結局缶コーヒーを開ける踏ん切りがつかず、レイはそれをタオルにくるみ、そっと鞄にしまった。


それから、さらに待つこと10分程度。

「ごめん、お待たせっ!」

焦った様子でやってきたまことの自転車が、レイの目の前で止まり切れずに甲高い音を立てながら通り過ぎていく。

「あ、ちょっ……」

ずずず、と鈍い音を立てて止まるまことの自転車は、以前派手に倒したせいか、ところどころ歪んでいる。

「ごめん、自転車のチェーン外れちゃってさ」

そう言いながらまことが自転車から降りると、彼女の自転車がぎぎっと軋んだ。

「結局あれからなかなか修理に出せないんだよね。自分で整備するにも時間がなくてさ」

まだあれから手つけてないんだ、と言われ、不意にあの日のことが蘇る。
自分の意思に関係なく上がる体温は、きっとこの気温のせいだけではない。

「えっと……どうしよう、か」

黙ってしまったレイに何を思ったのか、まことが少し不安げな表情でこちらを見ている。
その表情にまた一つ心臓がはねて、レイは咄嗟に目をそらした。
少しだけ見下ろされるその視線を、まっすぐに受け止めることができない。

「あー……と、とりあえず、自転車停めてくるね」

ぎこちない動きでUターンし、自転車をぎしぎし言わせながら遠ざかる背中。
はぁ、と大きく息を吐いて、初めて自分が呼吸を止めていたことを知る。

――また、余計な心配かけたかしら。

頭によぎる後悔の念。
二人でどこかへ行こう、そう誘われたときは舞い上がるほど嬉しかったのに、今になって緊張が増してきている。
普段そう汗をかかない手のひらが、しっとりと汗で濡れている。
気づけば、鼓動が驚くほど速い。
自分の身体にこうも変化が起こるのが、不思議でたまらなかった。
そして、普段と何ら変わりないまことの様子が少しだけ悔しかった。
自分だけ舞い上がって、それこそ馬鹿みたいで。

「あー、レイ……?」

おずおず、といったように声をかけられて、レイはふと我に返った。
そこにはいつの間にか戻ってきていたらしいまことの姿。
まことが戻ってきたのにも気づかないほどに、思考がすっ飛んでいたらしい。

「あ、えっと、ごめんなさい……何の話だったかしら」

今まさに思い浮かべていたその人の登場に、震えそうになる声をなんとか抑え、何でもない風を装う。
それでもやはりまことと目を合わすのは照れくさくて、わずかに視線をそらしながら。

「そう、だな……とりあえず、行き先決めよっか」
「そ、そうね」

そうは行っても、行きたいところと言われて思いつく場所もない。
友人同士なら、本屋でも良い、ウィンドウショッピングでも良い、行く場所ならいくらでもあるのだが。

「どっか、ある?」
「……どこでも、良いわ」

あまりに黙ると、またまことを不安にさせてしまうかもしれない。
だからといって、何か思いつくかといえばそういうわけでもなく、普段の何倍も鈍くなった思考を呪いながらなんとかレイは返事をする。
耳の奥を通り抜ける自分の声に、ぶっきらぼう、という言葉が浮かんだ。
そのことを後悔してみても、出してしまった声はもう戻せない。

「あー、そう、だよね。いきなり言われてもって感じだよなぁ」

どうしようかな、と腕組みをするまこと。
レイにとっては二人で出かけられるならどこでも良いのだが、まことにとってはそうではないのだろうか。
また軽く落ち込みそうになって、それを振り払うように首を振る。

「そう、だな……とりあえず、歩こうか」
「……えぇ」

幸い、この辺は洒落た店も多い。
ひとまずこの沈黙から逃れられることに、レイは少しだけ安堵した。

「この辺、可愛い小物とか売ってるお店多いんだよ」

そう言うまことの口ぶりは、歩きなれているらしい余裕をうかがわせる。

「じゃあ……任せるわ」

できるだけ柔らかい声で返事をする。
まことの表情がまた曇ったりしないように。


最初のレイの心配をよそに、二人の時間は何事もなく過ぎていった。
小物が好きだというまことが連れて行ってくれた店は、どこも洒落ていた。
それでいて背伸びをした感じもなく、あまりこういったものに触れないレイでも抵抗なく入れる店ばかり。
普段からよく行くのだというパスタの店も十分満足できるもので、改めて居心地の良い店を発見するまことの能力の高さに感心する。

「あと、どこが良いかな」

レイに聞いているのか、自問しているのか、曖昧な問い。
ウィンドウショッピングだけで午前中を費やせてしまったのもある意味すごいが、午後からの時間をどう使うか。
たくさん歩いて少し疲労もたまってきた時間に、これ以上二人で歩き続けるのも無理があるかもしれない。

「……ちょっと、どこかで休憩する、とか」

申し訳程度にレイがつぶやくと、お、いいね、と返ってくる。

「少し歩くけど、この先に小さな丘があるんだけど」

歩けそうかな、とまこと。
彼女にとっては何気ない質問だったのだろうが、レイは内心どきりとする。
少し前から、足が靴擦れを起こして痛みを訴えていた。
まだ歩くのに支障が出るほどではないが、これ以上歩き続けるのも少々辛いかもしれない。
だが、まことが見せたいと言ってくれたものはすべて見てみたかった。
彼女が、今まで見てきた風景を、少しでも一緒に見てみたかった。

「……大丈夫よ」

きっと耐えられる。
踵に覚えるかすかな違和感は見なかったことにして、レイは答えた。

posted by ひるめ | 13:05 | まこレイ | comments(0) | trackbacks(0) |
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