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これからも、二人で -2-

昨日の続きですです。
毎度まこレイなのかレイまこなのかと考えるわけですが、この場合はレイまこになるのでしょうか。







まことが案内してくれたその場所は、なるほど素敵な場所だった。
今日の蒸し暑い気温が嘘のように、風が通り、汗を乾かすついでに熱をさらっていく。

「綺麗……」

思わずそうつぶやいてしまうほど、丘から見下ろす町の風景は普段と違う顔をしていた。
いつも通う学校が、あんなに小さく見える。
みんなが集うクラウンも、火川神社も、ミニチュアのおもちゃのようで。

「引っ越してきてすぐの頃、よくここに来たんだ」

そんなまことの気持ちが、少しだけ分かる気がした。
右も左もわからない町に来て、少しでも全体を見てみたい。
ここで町を眺めながら、よろしくね、と言うまことが、目に浮かぶようだった。

「でも、よく見つけたわね、こんなところ」
「へへ、あの頃は少しでもたくさんこの町のことを知りたかったからね」

そして、十番中学に転校し、うさぎや亜美……そして、レイと出会った。

「……良かった」
「ん?」
「ううん、なんでもない」

出会えてよかった、その言葉をそのままぶつけるのは照れくさすぎてできない。
幸いまことからそれ以上追及されることもなく、話題はまたふわふわと別の方へ移っていく。

何を話しても尽きることのない話題。
たまに訪れる沈黙も、それはそれで心地よい。
まこととならば、どうにかして言葉をつながなければなどと思わなくて良い。
そろそろ行こうかとまことに言われた時にはもう日もすっかり傾いて、名残惜しいながらもあとは帰るだけ。
そう思っていたレイをはっとさせたのは、忘れかけていた足の痛みだった。
それでも、なんとか耐えて立ち上がる。
この丘に来るまでの間にも悪化していた靴擦れは、今はどうしようもない。
家に帰るまでの辛抱だ、そう言い聞かせてレイはまことの後を追った。

しかし、そんなレイの決意もむなしく、数分歩いたところでズキズキと痛みを訴える足はほとんど限界に近かった。
少しだけ前を歩くまことの背中が、少しずつ遠ざかっているような気がする。
張り切っておろし立ての靴を履いてきたことを、こんなに後悔することもないだろう。
それでも、レイは止まるわけにはいかなかった。
せっかく初めて二人で出かける日だったというのに、最後の最後までまことに心配をかけたくない。
楽しかった今日の思い出に、傷をつけたくない。
それはもう、半ば子どものような意地で。

「だいぶ歩いたね、今日は」

呑気なまことの声に、えぇそうね、と返事はするが、内心それどころではない。
まことにいかに痛みを悟られないようにするか、今のレイの心はそこだけに集中していた。

「……レイ?」
「何?」

視線がぶつかりそうになり、レイは慌ててそれから逃れようと視線をさまよわせる。
今目が合えば、妙なところだけ聡い彼女のことだ、きっと何かしら悟られてしまう。

「どこか、座ろうか。ちょっと歩き疲れたし」

レイの様子を見て何か感じたのか、はたまた自分が疲れただけなのか。
いずれにせよ、今のレイにとってはありがたいとしか言いようがない提案だった。


それからしばらく歩き、見つけたベンチに二人で並んで座る。
やっと重みから解放された足が、先ほどとは違う鋭い痛みを訴え始めた。

「レイ?その……何か、怒ってる?」

最初と同じ、不安げな表情。

「そ、そんなこと」
「でも……さっきから、あんま喋んないし」
「そ、それは」
「何か、怖い顔してるし」

つん、と眉間をつつかれ、初めて自分の眉間に刻まれた深いしわに気付く。
足の痛みに、知らず知らずのうちに険しい表情になっていたらしい。

「……楽しくなかった?」
「そんなこと……!」

まことの言葉を否定しようとするがうまく言葉が出てこない。
レイがこんなにも楽しかったということを、まことに伝える術がない。
それでもまことの言葉だけはなんとか否定したくて、思わずレイは立ち上がっていた。

「っつ」

その拍子に、先ほどまで触れないようにしていた傷口に、ぐり、と食い込む靴の踵。
予想していなかったその痛みに、レイは思わずしゃがみこむ。

「レ、レイ!」

慌ててまことが寄ってくる。

「どこか、痛いのか?」

その瞬間、何もかもが無駄になった、と思った。
さすがにこれは誤魔化しようがない。
素直に話すしか、ない。

「大したことじゃ……ちょっ」

言いかけたレイの身体が、次の瞬間には宙に浮いていた。
背中と膝を支える力強い腕に、ふと傍から見れば非常に恥ずかしい状況なのではないかと気付く。

「お、下ろして」
「……やだ」
「はっ?」

冗談だよ、と言いながら、そのままベンチに下ろされ、どこが痛いんだと、問い詰められる。
その有無を言わさぬ様子に、レイもようやく観念した。
仕方なく靴を脱いでみせると、先ほどまで怒っていたのが、別の意味でしかめられるまことの顔。

「な……なんで言わなかったんだよ!!」

レイも、自分で靴を脱いで初めて自分の足の状態を知る。
そこは浸出液で濡れ、真っ赤に腫れていた。

「こんなになるまで……痛かっただろ」
「……別に」

怪我のことを知られてしまったのは仕方ない、だがこれ以上心配もかけたくない。
その一心で出た言葉だったが、まことには逆効果だったようで。

「嘘、つくなよ」

手当てするから、とまことが持っていた鞄に手をかける。
その瞬間、あっというまことの声と共にボロボロと零れ落ちる様々な物、物、物……。
絆創膏をはじめ、消毒液、よく見れば風邪をひいたときに額に貼るシートまである。
思いがけぬ量の荷物に、痛みを忘れてレイは目を丸くした。
そんなレイをよそに、あー、とへたりこむまこと。

「な、なんなのよ……コレ」
「……準備、してたんだよ」
「準備……?」
「し、仕方ないだろ!昨日あんまり寝られなくてさ」

言いながら、まことは照れたように頭を掻く。
あれもこれもと用意していたら、気付けば日が昇っていた、とか。
少し仮眠を取っていたら案の定寝過ごした、とか。
最初のまことの様子からは微塵も想像できない姿で、レイはその意外な姿に微笑んだ。

「……今日だって、レイが喜びそうなところ、どこかなっていろいろ考えてさ」

私だけ緊張してたんだよなぁ、とぼんやりつぶやくまこと。

「特別なことなんて……何もなくて良いの」

頭を抱えるその姿を眺めながら、不意に口から出た言葉にレイは驚いた。
しかし、口に出してみればそれが一番単純で素直な気持ちだ。
そう、特別なことなど何もなくて良いのだ。
二人でいれば、それだけで。
言った後で、その言葉はそのままするりとレイにも帰ってくる。
そうだ、最初から答えはそこにあったのだ。

「……そうよ、二人で出かけるだけで良かったのよ」

それだけで、心臓が破裂しそうになる。
普段見慣れた道でさえ、不思議と表情を変える。
何をするにも相手が気になって、緊張して。
……でもそれは、決して嫌じゃない。

「……レイ」

珍しく素直なレイに驚いたのか、まことは目を丸くしたままで、その様子にレイ自身我に返って頬を染める。

「だ、だから!別にまことが何かやらなきゃって気負う必要なんて一切ないのよ」

言いながら、きっと気負わせていたのは自分の方なのだろうという考えもよぎる。
だからこそ、その荷を少しでも下ろしたかった。
自分の、言葉で。

「な……なんだぁ」
「え……?」

しかしながら、真剣なレイとは正反対に、あはは、と気の抜けた笑いをこぼすまこと。

「な、なんなのよ」
「いや……うん、同じだったんだなって思ってさ」
「同じ?」

そう言いながら崩された顔は、笑っている、というよりもむしろ……にやけていると言った方が正しい。
へたりこまれた意味も、今の笑いの意味も分からないまま、レイはぽかんとする。

「何が同じなのよ……」
「いや……なんでもない。とにかく、ちゃんと手当てしないとね」

ここじゃ応急手当くらいしかできないし、というまことの言葉通り、いくらまことが持ってきた道具でも消毒をして絆創膏を貼るくらいしかできなさそうだ。

「家……寄ってく?」

控えめな申し出だったが、レイをどきりとさせるには十分。

「じゃあ、お言葉に甘えようかしら」
「へへ、やった」

それじゃ、と差し出された手を握ると、そのままぐいと引っ張り上げられる。
ゆっくり行こうか、というまことの言葉に答える代りに、レイはその手をそっと握り返した。

 

 


どうもひるめです。
初デートなのにがちがちに緊張してたり意外と気を遣ったり忙しいレイちゃんとか良いなと思いつつ書いていましたヽ( ´ー`)ノ
結局お互い緊張しているわけですが、そういうときほど相手には余裕があるように見えるものですよね。
(しかしちょっとレイちゃんが可愛げなさすぎる気もしないでもない……頑張れ木野さん)
レイちゃんは普段はクールなのにこういう時だけ不器用だと良い、まこちゃんは天然タラシの才能をいかんなく発揮すれば良い、そう思います。
posted by ひるめ | 12:36 | まこレイ | comments(2) | trackbacks(0) |
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コメント
>忠狼

はじめまして。

いつもありがとうございます。

最近浮かぶのがまこ亜美ばかりだったりするのですが、まこレイも浮かんではいるのでいずれ形にできたらなーと思っています。
予定がないということはないので、ゆっくりお待ちいただければ…と思います。
今後ともよろしくお願いします。
2014/01/22 02:54 by ひるめ
はじめまして!

いつも楽しく読ませてもらってます!ファンです!←

まこレイ全裸正座待機してるんですが更新の予定はないのでしょうか(´・ω・`)?
2014/01/21 12:29 by 忠狼
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