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拍手の更新のお知らせ

どうもひるめです。

web拍手の更新をしました…!本当に久しぶりですが、ふと降ってきた前世マキュで一つ。
原作で描かれていたマーキュリーさんサイボーグ設定を少し拝借して、人間が元→身体の機能を機械で代替しているマキュさんとそれを取り巻く四守護神、という感じです。
久々にちょっと長めのお話を思いついたので、ちょっとずつ吐き出していけたらなと…はい。
(結構オリジナル設定がバンバン登場しますので、公式設定以外は認めない!という方は要注意でお願いいたします)

あと、前々回(?)に連載していた拍手話の最終話だけ過去ログにアップしていないことに最近気付きまして、データどっかにあるだろと思っていたらなんだかどこにもない疑惑…←
あるとしたら古いPCのごみ箱()の中なのですが、現在手元にないので確認が9月入ってからになりそうです。
(…もし見つからなかったらまた書こうかなとも思ったりしているのですがさすがに一字一句は覚えてないので結末がなんだか変わる可能性も…大筋はおそらく変わらないと思うのですが)

続きから前回の拍手のログでございます。






ヴィーナスが最初に違和感を覚えたのは、ほんの些細なことだった。
これで相手がマーキュリーでなければ、気にも留めなかったかもしれない。
しかし。

「これはさすがに……変、よね」

画面に映る文面を眺めながら、ヴィーナスはそれが自分の勘違いでないことを再度確認する。
だが、何度見てみても結果は変わらない。

「多すぎ、でしょう」

紙にしてたった3ページしかない報告書ではあるが、その中に複数の誤字脱字。
自分や、もしくはジュピターが作った資料であるとすれば、それは何ら不自然ではないのだが。
これを作ったのがマーキュリーというのが、ヴィーナスを混乱させていた。
いつも完璧に校正をし、一つの隙もない資料を作るのが彼女であるというのに。
これはやはり、何かおかしい。

体調が悪いとか、そんな単純なことであれば良いんだけど――

何事かが彼女の中で起きていたりはしないか。
ちらりとよぎった不安は、やはり解消しておくべきだろう。
とりあえず、彼女に聞いてみないことには始まらない。

――普段と立場が逆ね。

席を立つ時、ヴィーナスはそんな不思議な感覚を覚えた。
マーキュリーの部屋へ向かう途中も、ヴィーナスの頭の中には様々な可能性が渦巻いていた。
最近の言動におかしいところはなかったか、最近の戦闘で何か変なことは起こらなかったか。
しかし、そもそもそんな事態が起こっていれば、ジュピターやマーズが気づかないはずはない。
それならば、もっと個人的な要因ということなのだろうか。
これだという答えが出せないまま、たどり着いてしまったマーキュリーの部屋。
ここまでくれば、本人に問いただすほかあるまい。

「マーキュリー?入るわよ」

ヴィーナスは返事を待たずに扉を開けかけたが、それは思いがけない形で阻止されることになった。

「マーキュリーなら、今出かけてるよ」
「ジュピター……」

こんなところで奇遇ね、と言うヴィーナスをよそに、ジュピターはどこか渋い顔で立っている。
まずいことでも起きたのか?
ふとそんな考えが頭に浮かび、思い描いていた最悪の事態が起こったのかとヴィーナスは身を硬くする。

「どうしたのよ、こんなところで」
「それを言うならアンタの方だろ」
「私はね、リーダーとして仕事をしに来たのよ」
「……仕事?アンタが?」

一気に怪訝な顔をするジュピター。
失礼ね、と笑えば、普段のアンタはまじめとは言いがたいけどな、と返ってくる。
こんな軽口が叩けるなら、そこまで事態は深刻でもないのかもしれない。

「どうせ、マーキュリーのことなんでしょう」
「……ということはアンタもか」
「まあ、そんなところね」

書類に彼女らしくないミスを見つけたから、とヴィーナスが言うと、ジュピターはそれを予想していたかのように目を細めた。

「あたしだけの勘違いなら良かったんだけど……そういうわけでもないみたいだな」
「ジュピターは一体何が気になったっていうの?」
「別に……大したことじゃない」
「どうでも良いことで他人の部屋まで来るっていうの?」

奥歯に物が挟まっているかのような言い方しかしないジュピター。
普段なら隠し事などしない――否、できないと言う方が正しいか――彼女が、何かを隠そうとしている。

「相変わらず、嘘つくのが下手ね」
「……悪かったな」

でも、本当に大したことじゃないからな、と前置きをしてジュピターは口を開く。

「いつからだったか覚えてないけどさ……マーキュリー、あたしに対して変なんだよ」
「変?」
「あー、なんて言うんだろうな、本当に事務連絡以外では話さなくなったっていうか」

頭をがしがしと掻いて、ジュピターは顔を険しくした。

「その……なんだ……嫌われてんのかなって」

口ごもりながらやっと吐き出された言葉を、ヴィーナスは意外な思いで聞いていた。
長身の彼女の姿が、いつもよりも少し縮んで見える。
大したことじゃない、と言ったジュピターの心理が、なんとなく分かった気がした。
つまりは、"他人にとっては"大したことじゃない、ということで。

「それが気になって来てみたってところなわけね」

ジュピターの中ではこの悪い予想が本当だったら、と恐れていたに違いない。

「……悪いかよ」
「そこまで言ってないじゃない」

そんなに卑屈になることなどないのに、見かけによらず彼女の心は繊細だ。

「別に心配すること、ないと思うけど」

こんなフォローでは効果などないことも分かっている。
だが、それ以外どんな言葉を選べというのだろう。
結局一番の薬は、マーキュリーから直接真意を聞くことなのだから。

「マーキュリー、見かけたら知らせて。どっちにしろ話はしなきゃいけないから」

この後マーキュリーが戻ってきて、ジュピターとも話ができれば一番良いのかもしれない。
だが、恐らく夜まで帰っては来ないだろう。
あぁ、と生返事をしたジュピターを置いて、ヴィーナスは自室へ戻ることにした。

結局、マーキュリーが帰宅したとの知らせを人伝に聞いたのは、日付も変わってしばらくしてからのことだった。

「疲れているところ悪いけど、良いかしら」

突然部屋に現れたヴィーナスに、マーキュリーも最初は意外そうな表情を浮かべていた。
しかし、データ閲覧用の端末を持ってきたヴィーナスに、すぐに仕事の話だと理解したらしい。
次の瞬間には、マーキュリーは仕事モードに切り替わっていたのだった。

「何か、問題でもあった?」
「なかったらわざわざこんな時間に訪ねないわ」

言いながらマーキュリーの正面に座ると、端末の画面を示す。

「これ、全部ミスなのよね。あなたらしくもない」

しばらく画面を眺めていたマーキュリーは、やがてそれらの間違いを確認し終えたのか一度画面から目を離す。
それから浅いため息を一つだけついた。

「何かあったの?最近、様子が変だって話もあるけど」

正確には、一人にしか聞いていないのだがそれを明かす必要もあるまい。
資料を作るときでさえこのようなミスをしているなら、他の部分でも何か細々としたケアレスミスを繰り返しているのではないか。
それがヴィーナスの予想だった。

「ブレーンがこんな状態じゃ……正直困るのよね」
「それは……申し訳なかったわ」

言いながら、マーキュリーは何か考えているようだった。
ジュピターといい、マーキュリーといい、今日はみんなどこか歯切れが悪い。

「教えてもらっても良いかしら、原因」

心当たりがないとは言わせない。
許可を求める形ではあったが、それは半ば強制であり命令であった。
マーキュリー自身もそれを感じたのか、観念したように身体の力を緩めた。
つまりは、仕事モードを解除したということで。

「私自身も、よく分かっていないのよ……整理できていないの」
「珍しいわね、マーキュリーらしくもない」

そうなのよ、とマーキュリーも困ったように頬杖をつく。

「まとまっていなくて良いのなら、話すことはできるのだけれど」
「良いわよ。それもリーダーの仕事の一つだもの」

ヴィーナスがあえて"リーダー"という単語を出すと、マーキュリーもジュピターと同じように笑った。
ジュピターほど露骨ではないが、やはり普段のヴィーナスはリーダー然としていない、ということなのだろうか。
本当は反論の一つもしたいところだったが、そんなことをしていては埒が明かない。
続きを促すと、マーキュリーは少し考えてからぽつぽつと話し始めた。

「最近、人といると脳の回転速度が落ちる……というのかしら。そんな感覚があって」

全員というわけではないのよ、と補足してから、マーキュリーはまた考え込む。
こんなにも話すことに苦労するマーキュリーを見るのは、初めてだ。

「恐らく、脳の一部が別の思考に使われているせいだとは思うのだけれど……それが何か分からなくて」

マーキュリー自身も、初めて出会う自分なのかもしれない。
彼女が"分からない"という単語を使うことも、ヴィーナスにとっては驚くべきことだった。
そこまで聞いたところで、ヴィーナスはあることに気づく。
頭の回転速度が落ちる、そのせいでケアレスミスをした。
それは分かるが、ジュピターとは何の関係もないような。

「妙な感覚って、それだけ?」
「……というと?」

言ってしまってから、ジュピターに許可もなく勝手に話しても良いものだろうか、と疑問が浮かぶ。
しかし、あのまま放っておいてもジュピターは自分から話すことなど、きっとない。
そう判断して、ヴィーナスは口を開く。

「それはそうとマーキュリー、あなた最近ジュピターに対して冷たいの?」
「……え?」

今度こそ、マーキュリーは意外そうな表情を浮かべた。
その様子からして、意図的にやっていたわけではないらしい。

「ジュピターがその……気にしてたから」
「そんなことは……そんな」

戸惑うように視線をうろつかせるマーキュリーが、ヴィーナスにはますます不思議に映った。
そもそもが、こんな風に人間的な仕草をすること自体が今までにはなかった反応。

「もしかして、原因って……」
「待って!」

ある可能性を提示しようとしたヴィーナスを遮り、マーキュリーはまだ混乱しているらしい表情で、待って、と呟いた。

「……マーキュリー?」

そこから読み取れる感情は、混乱……そして不安。
ここから先に進んでしまうのを恐れている、そんな躊躇い。

「大丈夫?」

ヴィーナスの問いかけに、かろうじて彼女は首肯した。
そういうことだったの――ヴィーナスの耳に届いたのは、その一言だった。
何がそういうこと、だというのだろうか。
マーキュリーが取り乱すほどにありえないことなど、そうそうあるものではない。

「――ジュピター?」

恐る恐るその名を口にしてみると、マーキュリーがはっと息を呑むのが聞こえた。
たかが一人の同僚の名前に、こうも戸惑う必要があるというのだろうか。
忙しく頭を回転させているらしいマーキュリーの傍へ寄ると、ヴィーナスはそっと彼女の隣に座る。

「マーキュリー、聞かせて?あなたがどうしてそんな状態なのか」

うつむくマーキュリーの顔は見えないが、わずかに首が上下した気がした。

「でも、本当に……ありえない、ことだわ」
「そんなこと、聞いてみなきゃ分からないじゃない」
「……こんな時だけね、あなたがリーダーに見えるの」

ぐ、と言葉に詰まったヴィーナスを置いて、マーキュリーは一つ息をつく。

「不思議だったのよ……どうして彼女に対してだけ、こんなになってしまうのか」
「ジュピターにだけ?」

ということは、マーキュリーはジュピターに対して何らかの強い感情を抱いていたということになる。

「それがどんな感情なのか……それをカテゴライズする方法がなくて」
「カテゴライズ?」

言われてから、ヴィーナスはふむ、と考えこむ。
感情なんて、もともとが曖昧なものだ。
それを更に分類する必要などあるのか。

「普通の人間にとっては――確かに、必要のないことかもしれない」

だけど私は、人間じゃないようなものだから。
さも簡単なことのように言うマーキュリーに、はっとヴィーナスは視線を上げる。
簡単に言っていいことじゃない、そう言いかけたのをそっと収める。
機械的で、冷静――それを彼女に求めているのは、他でもない自分たちなのだから。

「どれだけ考えても、答えは出なくて。そんなことをしているうちに、ジュピターの顔を見るだけで混乱してきてしまって」
「変な感じね、あなたが"混乱"なんて」
「そう……だから余計に、私どうしていいか分からなかったのね」

マーキュリーはヴィーナスに話すことで、何かを整理しているかのようだった。
実際、彼女の中ではそれに近いことが行われていたのかもしれない。

「そこへ、あなたがやってきて……あまりに単刀直入に聞くから」

いやでも直接向き合わなくてはならなくなってしまったわ、と話すマーキュリーの表情からは、しかしそれが迷惑だとは言っていなかった。
少なくとも、ヴィーナスにはそう感じられた。

「それで?その感情が何なのか、分かったのかしら?」
「さあ……分からないわ」
「え?」

肩透かしをくらう、とはこのことだと思った。
それでは先ほど、あれだけ大きな動揺を見せたのはなんだったというのか。

「だってさっきの……あれは一体どういうことだったの?」
「あれは……ジュピターに抱いている感情が、プラスであることに気づいたから」
「は?」

得心顔で頷くマーキュリーだったが、ヴィーナスには納得がいかない。
あの様子では、てっきり今までの悩みに答えが出たのではと思ったのに。

「じゃあまだ、それが具体的にどういう感情なのかは分かってないということなのね……」
「そうなるわね、今のところ」

隣で笑う彼女が、ヴィーナスにはやはり不思議だった。
とりあえずは、プラスかマイナスかが大別できれば良しということなのか。
確かにそれだけ分かっていれば、実戦の際に支障はないのかもしれないが。

「マーキュリー」
「……何?」
「一つ、良いこと教えてあげる」

これまで戦闘以外のことを教えられていない彼女が、その感情の名を知らないのも無理はないのかもしれない。
きょとんとしている彼女を正面から見据えながら、ヴィーナスはぼんやりと考えた。

「誰かに強い好意を寄せることをね、」


――人は、"恋"と呼ぶのよ

posted by ひるめ | 23:06 | 拍手ログ | comments(0) | trackbacks(0) |
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