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割れ鍋と綴じ蓋
どうも、ひるめです。
深夜のテンションで、ふっと降りてきたCPを追っていたらこんなのが出来上がっていました。
さらっと始まる美奈まこ…だと…(自分でもびっくり)






ふとした仕草や表情で、不意に始まりに気づくことがある。
彼女の手から転がり落ちたシャープペンシルを、もう一人の少女が拾う。
どうぞ、ありがとう、ありきたりのやりとりの中に見え隠れする、二人の関係。
そういうことか、と気づいてしまえば、あとは簡単なことだった。
自分の密かな思いは、恋にすらならないまま、落ちて消えたのだと知った。
そしてここに、同じような境遇の人がもう一人。

「仲、いーこと」

からかいたいのか何なのか、独り言ともつかぬ声量で彼女は呟く。
案の定、目の前の二人には聞こえていなかった様子。

「聞こえてないみたいだけど?」
「……知ってるわよ」

あわよくば、なんて期待して、結局一方的に裏切られた気になって。
そして、勝手に傷ついている。
つくづく、似た者同士。

「ねえ、まこちゃん」
「何さ?」
「週末、空いてない?」

飲みましょ、と冗談めいた言葉で、しかし誤魔化しきれていないのは彼女らしいというべきか。
傷の舐め合いなんて、と言いかけたところで、思い直した。
似た者同士、傷心した者同士、たまには二人で話をするのも悪くはない。
どこ行きたい、という問いかけに、久々に彼女の目が活き活きとするのを見た。
映画館は二人の趣味が合わないし、遊園地も同じ理由で却下。
結局無難に水族館で、とまことが提案すれば、美奈子は分かってないわねと首を振る。

「水族館なんて、顔色悪く見えるじゃない」
「そういう問題かい?」

実はあの子のことを思い出して嫌だなんて、きっと彼女は言わないのだろう。
傷心旅行にはぴったりだろうと、だからあえてそこを選んだのに。

「じゃあ美奈は、どこ行きたいのさ?」
「んー……美術館?」

言ってみて、しっくりこないことに気づいたらしい。
やっぱり却下ね、と言われて少しだけほっとした。
一度だけ一緒に行ったあの場所で、乳白色の筋肉質な無機物にまで嫉妬してしまったなんて、思い出したくもない過去だった。

「まあいいわ、水族館。決定ね」

オットセイが頭上で泳いでるんだっけ、という言葉に、きっとアシカだと思うよと訂正する。
そういうの亜美ちゃんみたいで嫌、とむくれる彼女に、ごめんと呟いた。
日曜10時に、駅に集合ね、そう決めたのは彼女の方で。
遅れてきたのも予想通り彼女の方で。
同じ長髪でもこんなに違うものかと不意に不思議に思った。
読んでいた文庫本はあっさりとした女性向けのエッセイで、まあそんな恋もあるよなと受け流すには丁度良い。
寝坊しちゃって、と謝る彼女に、気にすることないよとひらひら手を振る。

「行こうか、上だって」

癖で手を引きそうになって、慌てて引っ込めた。
そのまま、何でもない会話をぽつりぽつりとしながら並んで歩く。
薄闇の中で、背格好や髪形だけは妙にあの子に似ていて、それだけで面白いほど動揺している自分がいる。
穴から顔を覗かせては、気まぐれに引っ込んでいくチンアナゴ。
不思議な笑みを浮かべて過ぎ去っていくトビエイ。
されるがままに漂っていくクラゲの数々。

「呑気そうでいいわねぇ」
「そんなもんかな」

結局のところ彼らが何を思って生きているのかなんて、人間であるまことたちには分かるはずもない。
あの子に焦がれていたのだと、あの二人が始まって、その事実を突き付けられて、初めて気づいた。
自分のことでさえ、こんなにも曖昧模糊としているのに。

「……いっそ、魚にでもなれたらよかったのかしら」
「何言ってんのさ」

彼女はどうなのだろう。
まことと同じように、一人をただずっと見つめていたのだろうか。
それとも、誰かを恋する、自分に酔っていただけ?

「あ、フグ」

おいしそう、なんて、水族館に来てまで言う感想にしては無粋すぎる。

「食べたことあるのかい?」
「んー、ないけど」

でもあのグルメなレイちゃんが好きなら、たぶん美味しいんじゃない、と。
まことちらりと見やる視線に、針でも含まれていたのかと思ってしまった。
たった一言、名前が出ただけなのに。
それは真っ直ぐに、まことの心臓を射抜く。
まるで、毒針のようだと思った。

「お土産も、見ていくんだろ」
「誰に買っていくのよ」
「うーん……うさぎちゃん、とか?」

ついでに、亜美ちゃんたちにも、とささやかな復讐を試みる。
まことの言葉は彼女には、針というより棍棒だったようで。

「分かってやってるわけ?」
「それは……お互い様、だろ」

どこが傷ついているのかなんて分からないのに、痛みだけは一人前に訴えてくる。
その傷はきっと他人から見た方がよく見えるに違いない。

「……付き合ってみる?」
「へ?」

誰が、誰と?
理解に苦しむまことの前で、美奈子は事もなげに言ってのける。

「もちろん、あたしが、まこちゃんと」
「本気で言ってるのかい……?」

傷ついた者同士、同じ穴の狢。
バランスが良いのか悪いのか、一歩間違えば同族嫌悪で駄目になりそうで。

「あたし……亜美ちゃんみたいに、背、低くないけど」
「ちょうどいいでしょ、その方が」

すっきりさっぱり、忘れられそう、なんて。
全くもって違う色なのに、その長髪に別の誰かを恋慕してしまうなんて言えようはずもない。

「いいじゃない。とりあえず、お試しってことで」
「そういうもん?」

あたし、美奈が思ってるほど、美奈のことよく知らないよ?
それはお互い様でしょ、と彼女が笑って。

「だってちょっと前まで、お互い一人しか見えてなかったんだし?」

否定はできなかった、むしろ大正解だった。
普段のテストでも、これくらい察しが良ければ良いのに。

「今、余計なこと考えたでしょ?」
「いや、そんなことは」

まずは形から、と差し出される手を取ってしまったら。
こんなのも悪くないかもしれないなと、思ってしまった。






どうもひるめです。
何が起きたんでしょうか、まこ美奈というか美奈まこ…?なブツ。
ふらっと降ってきたので書き始めてみたら恐ろしくするっとできました。今までの最短と言っても良いくらい…。
二人の始まりはなんだかすごくさらっと、ドライに始まりそうです。
posted by ひるめ | 02:54 | その他(セラムン) | comments(0) | trackbacks(0) |
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