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We love Us.
どうもひるめです。
短めですがはるみち…はる?で一つ。
甘い雰囲気でってお話だったような気がするんですが…甘い…のかなあ。






不意の風が、微かに窓を震わせた。
街に冷気を振りまく冬の風は、こんなところまで上ってくるらしい。
一般には高層階と呼ばれるのであろう部屋の一室で、しかしそんなことははるかの思考を素通りして消えた。
少しだけ遅い昼食を二人でつついて、そのままソファに身を沈みこむ。
お手本とも言えそうなほど怠惰な休日に、ファンが見たら泣くわね、とはみちるの一言。
それをそこそこに受け流し、休日ってのは休むものだろ、とはるかは自分を正当化。
たまの休日、しかも二人で過ごせるというのに、野暮な言葉は不要だ。
そんなことよりも、今のはるかの思考を占有しているのは、台所からの甘い匂い。

「みちる? 何作ってんの?」
「内緒よ」
「なんだよ、教えてくれたっていいじゃないか」

だったら来て確かめたらいいじゃない、といたずらっぽい笑みがはるかを誘った。
一歩ごとに強まる香りに導かれるまま、はるかはキッチンへと滑り込む。
清潔感の漂うカウンターに並ぶのは、これから使われるであろう材料たち。
小麦粉とレモンの皮、それからバニラエッセンスと溶かしバター。
見ているだけで甘さが広がるようなそれらはきちんと計量され、すました顔でそこにいた。
するりと背後から腰に手を回す。
普段の彼女からはクラシカルな匂いがするはずなのに、今ふわりと匂い立つのは、甘やかな子どものような香り。
それを追ってその肩に頬を埋めると、厚手のエプロンの布地が鼻先をくすぐった。

「はるか、動きにくいわ」

言いながらも、彼女の指はてきぱきとレシピを進めていく。

「うーん、僕には分からないな」
「じゃあ、でき上がるまでのお楽しみね」

ボールの中では、柔らかな黄色が撹拌されていた。
そこに降り積もる、粉雪の山のような白。
それが段々と馴染んでいく、そこにレモンが加わって、ゆるりと香りが変わる。
見ていて飽きない、と思った。
彼女の手際の良さも、どんどんと姿を変えるボウルの中の風景も。
バニラの香りが辺りを包みこみ始め、はるかにもなんとなく完成が近いことが分かった。
銀色のカップに注がれていく生地が、金属のバットの上に整然と並べられていく。

「味見、したいな」
「あら、行儀悪いわ」

じゃあそれでもいいや、とはるかはバニラエッセンスを指さす。
本当に?と問うみちるに構わず、はるかは掌を差し出した。
仕方ないわねと、そこに落とされた一滴が、手の中で煌めいて揺れる。
けれど、その味は。

「……苦いな」
「だから言ったじゃない」
「苦いなんて、言ってくれなかったじゃないか」

知っているかと思って、という彼女を責めることはできないだろう。
こんなにも甘そうな匂いをさせておいて、甘くないなんて詐欺にでも遭った気分だった。
しかし、きっとお菓子を作るような女性にとっては、バニラエッセンスがさほど美味しいものでないことくらいは常識なのだ。
騙されたとでもいうようにむくれるはるかを、みちるの指がつ、と導く。
はるかを見上げる、その瞳がゆっくりと閉じていく。
それを合図に、はるかもそっと身を屈め、どちらともなく唇が触れた。

「口直しよ」

あと十五分もすれば焼きあがるわ、と余裕の笑みを湛えて彼女が言う。
ふとその余裕を崩したくなって、はるかは彼女の耳に軽い反撃。
十五分も待てない、という囁きに、その肢体が小さく跳ねた。






どうもひるめです。
甘いのを書こうと思ったら、なんだかこう、いちゃついて終わっただけのような気も。
普段いちゃいちゃなんて書かない私の最大限のいちゃこらです。
posted by ひるめ | 18:20 | その他(セラムン) | comments(0) | trackbacks(0) |
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